さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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天才から生まれた埒外。



悔しいが

ミスタサーデュークは物心ついた時から才能のある子であった。

 

「にいちゃん走ろ〜」

 

とはいえ、父があのトウカイテイオーで母方の血筋も有名であるからして過保護に育てられた結果、自ずと遊び相手も彼のきょうだいたちとなって…。

 

「トレセン辞める。何でって?」

 

───だってみんな、僕より弱いじゃん。

 

 

ミスタサーデュークというウマは才能があった。

いや、()()()()()

普通にしていても普通以上にできて、それでいて軽々と他の人を追い抜いてしまう。

そうしていると、本人にその気はなくとも疎まれてしまうわけで。

それはそうと。

 

(やっぱ兄ちゃんとか弟たちって規格外なんだネ)

 

幼い頃から今までずっとの遊び相手である彼のきょうだいたちも皆、彼と同じように才能に溢れているので。

半ば必然的に、同じ力量で遊べていたからこそ他人と自分たちとの力量差が分からなかった。

 

───だから、トレセン学園から自主退学した。

 

その際に兄や親族をよく面倒見ているトレーナーさんの親族に誘われたのもあって、バ術競技の方に転向したのだが。

 

「…お父さん、うるさいなあ。それにおじいちゃんも」

「……仕方ないんじゃないか」

「母さんは何も言わなかったのに!月代(つきしろ)だって!」

 

父であるトウカイテイオーと祖父(であり弟の父でもある)であるシンボリルドルフが、うるさい。

如何せん、ジュニア級であれだけの勝ち方をしてしまって三冠だって夢じゃないとなっていたところで(彼らにとっては)唐突に、なのだ。

 

「だ、だって!誰も引き止めに来なかったし……」

「そうだね。結構待ってたもんね」

 

ミスタサーデュークがトレセン学園を辞める時、母親ときょうだい全員で観光がてら迎えに行った…が。

ミスタサーデュークは気づいていない。

素知らぬ間に彼を可愛がっている年子の兄-メジロアクターが「デュークが望むなら」と情報統制をして、その他周囲のトレーナーや生徒に彼が辞めると悟られないようにしていたのだ。

そのおかげで、いま現在でもトレセン学園に入学し、学校生活を謳歌しているバレットシンボリの方に「彼に連絡できないか」と話が来るのだ。

なにせ、メジロアクターはその手の話をガン無視するので。

 

(だからこっちにお鉢が回ってくるんだよなあ…)

 

はぁ、と溜息をついても何も変わらない。

そもそもあの人等、デュークとあんまり関わってなかったんだし話すこともクソもないだろうと思うのだが。

 

「とりあえずケーキ食べに行こう」

「うん!美味しいところ見つけたんだ〜」

「はいはい、走るな走るな」

「そこ、アップルパイも美味しいんだって!」

「それは……まあ、いいけど」

 





本当は天才というか鬼才だったミスタサーデュークだけど、祖母であるホワイトリリィみたく自分の走りに折れた周りを見て見限ってしまった形だったり。
だから馬術の世界に行った後もめちゃくちゃ惜しまれてるんだあ…。
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