さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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あれ?



えいえい!

ススス…と近寄ってみる。

自分たちだけしか周囲にはいないのでできる芸当だ。

それからしっぽをシュルっと相手のしっぽにかけてみたり、耳をぴとっと相手の耳につけてみたり。

けれども相手は涼しい顔をしているばかりで、まったくの無反応だった。

 

「……うー」

 

なんだか恥ずかしい。

相手の涼しい顔をずっと見ていたら、それこそ耳まで真っ赤になるんじゃないかと思えたぐらいだ。

 

「あのさ──」

 

思い切って聞いてみた。

 

「どうとも思わない?」

「…………」

 

すると、相手さピクっと指を動かしたが、それ以上の反応はない。

……こまったなぁ……。

なんかこのまま放っておいたら面倒なことになる気がするし、かといってこの反応のなさはこたえる。

どうしたものかと悩むこと数十秒。

 

「あ」

 

髪にゴミがついてるのをみつけた。

ちょっと失礼、と相手の髪を払ってやる。

すると──、

 

「きゅっ!」

 

なんかそんな擬音がしたぐらいに飛び上がって驚いた。

いや、驚きすぎだろ……これ……。

 

「大丈夫?」

「……」

 

相手はコクコクとうなずいてから、そそくさと走り去っていってしまったのだった。

 

 

そんなことがあってから数日後のこと。

 

(なんか今日はすごく積極的だなぁ…)

 

しっぽは巻き付けられるわ、手は繋がれるわ。

いつもならこんなことしないでしょって勢いのスキンシップを、これでもかというぐらいされている。

 

「……あのさ」

「なんだ?」

「いや、最近やけに積極的だけど……どうしたの?」

「そうか? あたしとしては以前と変わっていないつもりだけど」

「……そっか。ならいいんだけどね」

 

それならなんでそんなにぐいぐい来るのかと聞きたいところだったが、止めておいた方がいいと思ったので何も言わなかった。

そうして他愛のない会話をしながらの帰り道。

そんな時間がもう終わりに近いってところまで来た頃のこと。

 

(あ)

 

相手は寮生、かくいう自分はひとり暮らし。

そういえばそうだったと隣を向けば、ニヤッと笑って「書類出してっから」と、軽々と境を飛び越えられた。

 

「…いつのまに」

「いいだろ?…こちとら散々、煽られてたんだから」

「そんなつもりはないんだけどなあ」

「マ、明日も明後日も休みだし」

「うん。それが?」

「……今夜は、寝かさないからな」

「…うん?」

 

ドヤ顔で宣言して、相手はすぐさま僕の手を引いて走り出した。

もうすでに遅い時間だし、まあ走るのもしゃあないかと思いながら。

 

(…なんか焦ってる?みたいな感じにも見えるんだよな。どうしたんだろ)





どんかんだなあ!
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