似てるなら誰でもいいんですか!?
あの父にして娘ありか。
「…なんスか」
あの娘が選んだ婿は、どこかあの娘の父に似ていた。
アイツみたく人懐っこくはなく、逆にぶっきらぼうだが、お人好しなのは同じ。
そして人を寄せ付けるのを是としないのも同じ。
一途にひとりの相手を愛するのも同じだし、その相手は、この先もずっと変わらぬだろうことも。
「いーやァ?なんでもねぇさ」
…なんつーか、自分ながら救いようのない。
薄らと食指を動かされてしまうのに、我ながら嘲笑する。
アイツがダメならってか。
「はは、……まァ、アイツが相手なら仕方ねェか」
「?」
するりと目の前の年若いのの頬を撫でる。
すると不思議そうな顔をするが、
「なんでもねェよ」
「……そうスか」
「おうよ」
*
養父の親友に可愛がられるようになったのはいつのことだったろう。
目付きが悪くて口も悪い俺はあんまし他人に可愛がられた記憶もなく、だからこの養父の友人だというおっさんに初めは警戒してた。
けど、次第にこの人が俺を構い倒したいんだってわかってからは、変に遠慮するのはやめた。
そして俺もそれが嫌ではなかったから、受け入れることにした。
なんせこの人は不思議な人で、妙な人なのだ。
「あのー……そろそろ勘弁してくんないすか?」
「あー?」
「っ!?」
今だってそうだ。
俺のことを好き放題に弄くり回している。
俺が逃げ腰になったのを無理くり止めて可愛がり続ける。
「ふは、真っ赤になってかぁわいいなァ」
「……っ」
頬を滑る手がやがて耳朶をなぞり、髪を撫でて。
それがどうにも面映ゆくって思わず視線を落としたら、耳元に唇が寄せられた。
「……アイツみてぇ」
「……」
唸るような低い声。
ひくりと背筋が粟立つけれど、逃げられやしない。
「アイツは、……俺ァよ。アイツのそういうとこが、」
「……嫌い?」
「いいや?でもまァ……妬けたなァ」
「っ」
ああ、もう。
だからこの人は油断ならないんだ。
分かっていて、それを弄ぶようにするからタチが悪い。
「なぁ、お前さんもそう思うだろ?」
*
「……あんまり、からかわないであげてね」
「なんのことやら」
すっとぼければ、静かに睨みつけられた。
どうやら全部把握済みらしい。
まァそうか。
ずうっと、お前には言い続けてるもんな。
「お前が受け止めてくれたら、それが一番いいんだが」
「…分かってるデショ」
「分かってても、諦めきれねぇンだよ」
「……そう」
「おうよ」
*
「なァ、……もう、いいだろ?」
「あァ?まだだ。まだ足りねェ」
「……っ」
この人が俺なんかに執着する理由は分からない。
でも、この人が俺を構うのはきっとそういうことなんだろう。
そして俺は、それを嫌だと思えないのだ。
だから困る。
困るのに、拒めない。
「……っ」
そういうわけではないんですけどね…。
魔性が相手ですから……。