if世界線。
「ぼくみたいなおじさん好きになっちゃあダメだヨ〜」
初めて会った子どもに「好きだ」と言われた。
ぼくよりも幾分か若いだけの子だがぼくにとっちゃあ子どもでしかなくて。
見たところトレセンに通っている将来有望な子のようだから、きっと担当トレーナーは今頃苦労して探してるだろうなぁと思った。
「で、なんでぼくなんかを好きになっちゃったノ」
「……言わなきゃ、ダメか?」
トレセンに連絡すれば、応対してくれた人にこの子のトレーナーさんが来るまで待つように言われ、ぼくは彼と座ってお話していた。
にしても、会ったことがないはずなのにどこかで会ったような気がする不思議な子だ。
「いや、言いたくないならいいヨ。ただの興味本位だし」
「……その、一目惚れなんだ。……初めてだった。こんなに人を好きになったの」
「そっかぁ……」
……ぼくは、そんなに好かれるような、素晴らしい人ではないのだけど。
隣にいる彼の、妙に熱の篭った爛々とした目に、たぶん本気なのだろうなあと感じ取った。
「でもぼく、ただのおじさんだよ」
「それの何が悪いんだ?」
「え?」
「歳なんて関係ないだろ?俺は今、ホワイトバックという人が好きだ。それだけじゃダメか?」
「……ううん、ダメじゃない」
……そっか、そうだよね。
ぼくも彼も…まだ子どもだ。
大人になんかなりきっちゃいない。
年の差なんて関係ないよね。
でも。
「……ありがとうね、ぼくなんかを好きになってくれて」
「!あ、ああ!」
彼の頭を撫でると嬉しそうに笑った。
けれども、すぐにその嬉しそうな顔はくもった。
聡いことに僕の真意を読み取ったからだろう。
「ぼくなんか好きにならなくても、キミのことを愛してくれる素敵な人がいるさ」
「……ずるいな。そうやって
「じゃあ、そういうことにしておいてあげるよ」
*
だんだん記憶が蘇ってきた。
どれほど求めても俺のモノにならなかったアイツ。
一途に伴侶のことを愛し、伴侶以外が自分を愛しているなんて、一ミリも思っていなかったヤツ。
アイツは愛を向けられては勘違いだというばかりで、俺の愛を理解しようとはしなかった。
「ごめんね」
いつも。
いつも、そうやさしく笑うばかり。
「またね」
いつだって。
俺の想いなど知りもしないで、一人で先へいってしまう。
「
アイツはいつも、俺の想いを真剣に受け止めてくれない。
伴侶を愛しているが故に。
伴侶を、一身に愛しているが故に。
愛のすべてを注ぎ込んでいるから、見てくれない。
「こっちを、みろよ…」
自分が選んだ最愛以外からの自分に向けられる想いを勘違いだと思う血筋。