さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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みんなレッテルしか見てないくせに。



パパラッチ

「…【英雄】?」

 

書類仕事をしていると後ろから抱きついてきた親友に声をかければ、ただ静かに擦り寄られた。

 

「だから言ったじゃない。ここに居ても暇だよって」

 

ちょっと長引くからと元々言っていたのに、と愚痴る。

 

「いーの。キミのそばにいれるだけで」

 

書類を片側にどかして、背後から頬を寄せられたので自分も頬を寄せる。

 

「何?何の話?」

 

聞いてみれば『顔赤いよー』と言われた。

そんなの知るか。

今忙しいんだこっちは。

話すならさっさと話せと思っても、『何でもない』と返されてまた仕事に戻された。

 

「ちょっと、【英雄】?なんの話なの?」

 

『教えない』と言われてしまったのでそれ以上は聞かなかった。

……これはアレだな。

例の熱愛報道のことだろうな。

 

 

実は、自分でも意外だが、僕はモテる。

まあ大概が色々と有名人だったからその名声が欲しくてっていうステータス面でのモテなんだろうけど、でもモテるのはモテるわけで。

なので綺麗とかカワイイ系の人と二人きりにならないように気をつけてはいるんだけど…前のアレはなあ。

油断していたところを飛びつかれて、けど僕に女性を手酷く扱う趣味はないから、出来れば丁重にお帰り願いたかったんだけど……。

そのまま引っ付かれてね。

うん、あの記事も一理あるな。

 

 

で。

 

「はあああ……」

 

と大きなため息をついたのは勿論この方です。

いやうん、話聞いてるときは大丈夫だったみたいなんだけどね?

大丈夫じゃなかったのは自分が彼女さんに近すぎたことかな……だって優しく言っても離れなかったんだもん。

そういうのに慣れてる人だったらあしらうこともできるんだろうけど、件彼女みたいに押しに強い人だと…ああなると。

別に色恋沙汰ではなかったから良かったものの、現にその噂のおかげでしつこく電話がかかってきたりとか。

だから今はほとぼりが冷めるまで…と寮にこもって書類仕事してるのだけど。

 

「機嫌直してよ、【英雄】」

「別に、機嫌悪くない。悪いのはキミだよ」

「だってさ……」

 

そう答えても答えは返ってこなかった。

 

 

少ししてから、僕はテレビをつけた。

とはいってもニュース番組……ではなく、ちょっと毛色の違う番組で。

 

「……別に怒ってないけどね」

 

そんな独り言を言いつつ観ているのはバラエティー番組っぽいニュース番組。

 

(なんでずっと僕のニュースばっか…)

「怒ってないからね」

(怒ってるだろ…)

「別に怒ってないし」

(いやだから)

「キミがモテることは知ってるし」

(……)

「そりゃあ嫉妬しないって言ったら嘘になるけど……」

(え、そこで急にトーンダウン?)

「でもその相手にどうこう思うわけじゃなくて、自分が情けないというか不甲斐ないというか……」

(意外とめんどくさいよね、【英雄】って…)





基本博愛主義なシルバープレアーさん定期。
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