そんな扱い。
シロガネガイセイは生まれた時分から聡い子であった。
「……」
生まれたばかりの自分を、父が何か恐ろしいものを見たかのように顔を歪ませたのも覚えているし、それ以外が異様なまでに歓喜したのも。
「……」
いわゆる、シロガネガイセイは『奇跡の子』というやつで。
"原初さま"に何から何まで瓜二つだと、蝶よ花よと、擦り傷ひとつつけることが許されないと言いそうなまでに過保護に過保護に育てられた。
もはや母親という存在はあってないようなものだった。
なにせ生まれた頃からまだ子どもの世話をできる一族の女たちが代わる代わるにガイセイの世話をし、ガイセイが厠に行くのにも彼女らをつけ、遊び相手には男連中をつけた。
自分で物を覚える間もないほど、なんでもすぐに覚えてしまうから教えられることもない。
元より教えられて分かるなんて普通の子どもでもなかったから、理解させる必要もなかった。
"原初さま"にそっくりなガイセイは蝶よ花よと育てられていたのだが、誰もが見ているのはガイセイ自身ではなく、ガイセイによく似た"原初さま"のようで。
気づけば"原初さま"とガイセイは何も変わりがなく。
いつしか周りの一族にとって『奇跡の子』はちゃんと『奇跡』になるのだと。
けれど、
「遊びにいこうぜ、ガイセイ」
「…、」
シルバアウトレイジだけは、ガイセイをガイセイとして見てくれた。
周りが危ないという外にも連れ出してくれたし、ワガママもできる限り聞いてくれた。
「……お前、頭が良いんだな」
「?なんのこと?」
シルバアウトレイジとて一族の者。
ガイセイほどの思慮深さはなくとも、それなりに知識はあったのだ。
だからそれが幼き子に向けて吐き出される言葉ではないことを知っていたし。
「いや、……なんでもない」
故に"原初さま"にそっくりなガイセイを、"原初さまの代わり"としてみるなんて…クソくらえと。
そのため、シルバアウトレイジはガイセイに会える機会があるたびにガイセイをこれでもかと可愛がった。
周りからなんと言われようとも、ガイセイをひとりの子どもとして慈しんで愛した。
……そんなシルバアウトレイジの思いを知ることもなく、ガイセイは。
「…レイちゃん、どうしたの?」
「い、いや!なんでも!ほら、あっちの川行こうぜ!」
「……うん!」
次第に無邪気に笑うことを覚えていった。
そんなガイセイが救いだとシルバアウトレイジは思うのだ。
この子の幸せを守るのは自分だと……心の底から思ったのだ。
そんな自分を唯一人間扱いしてくれた人がいたら…ねぇ?