さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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今日もにぶにぶ。



お前ェ…

僕は死んだ。

とはいえ不慮の死とかそういうのではなく、ただ単に寿命だったのだろう。

だが本当に家で突然…ではなく病院でバ生を終えられたのはよかった。

家で生涯を終えてたら…と思うとゾッとする。

実家に住んでた頃ならまだしもねぇ…?

 

『でも不思議だね〜』

 

ぷわぷわと浮きながら棺桶に収まっている自分を見る。

ちょっと顔色は悪いけどまだ生きてるみたいに見えて。

 

『それにこんなに来てくれるなんて…平日なのに申し訳ないなあ』

 

 

シルバーバレットが死んだ。

早すぎる死だった。

シルバーバレットが現役から引退し、ようやっとふたりで穏やかに暮らせるようになった頃に、突然。

 

「僕、もうすぐ死んじゃうんだってさ」

 

天気の話をするような気軽さでそう告げられた。

何となく病院に行ったら、もうどれだけ手を尽くしてもどうにもならないほどに悪化しているのだと。

 

『原因はね〜……お医者さんが言うには、寿命じゃないかって』

 

入院することになった、とも。

 

『だからほら、あんまり見舞いに来ないでね?仕事あるでしょ?』

 

お葬式もしなくていい、墓も実家のがあるから作らなくていいと言ったシルバーバレットに俺は頑なに首を振った。

もうお前と離れたくない。

そう告げるとシルバーバレットは少し驚いた顔をしてから嬉しそうに笑った。

それからは怒涛だった。

元より倹約家だったシルバーバレットには現役時代に稼いだ莫大な資産があったし、それ以外にも元が人気の選手で、未だ伝説のコイツを世間にバレないように入院させるのには苦労した。

だが、

 

『僕みたいなヤツのことなんてすぐ忘れて、他の人と幸せになってね』

 

日に日に弱り、果てには起きているのか寝ているのか曖昧になってきたシルバーバレットに言われた言葉。

ずっとずっと、お前が現役を引退するのを待っていた恋人に何たる仕打ちだと。

そう言ってやりたかったのに。

 

『いままで、ありがとう』

 

ぼく、しあわせだったよ。

そう笑ったシルバーバレットに、俺はもう何も言えなかった。

 

 

『でもまさか、本当にこんなおっきなお葬式やるなんて。てっきり身内だけかと思ってたのに』

 

お通夜と葬儀を見終えた僕はひとりごちる。

 

『まあ……うん、いいバ生だったかも』

 

僕みたいなのがこんなに愛されて幸せ以外のなにものでもないだろう。

 

『先生や家族のみんなにもちゃんと手紙遺してるしね。…あ、』

 

そういや、恋人(あの子)には何も書いてなかったや。

 

『毎日病室にいたから書く時間が…』

 

でも良さげなお相手さんの情報まとめたあれこれは僕の部屋の机にしまってあるからさっさと次に行って幸せになって欲しいな!





本人としてはヤラカシチャッタぐらいなんだよなあ…。
なお()。
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