さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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シルバーチャンプは馬主である白銀創の因子を継承している。

【追記】
誤字報告ありがとうございます。


タイムスリップ・オリジン

タイムスリップした。

…いきなり訳が分からないと思うが俺だって訳が分からない。

 

電源ボタンを何度押そうともつかない携帯をポケットに突っ込み、何とか手に入れた新聞に書いてある日付は自分の生年月日よりウン十年も前。

ウン十年時間軸が違うくせに何故か使えるトレセン学園の生徒パスで何とか潜りこんだソコで、

 

「…キミは?」

 

俺は、シルバーチャンプは『運命』と出会った。

 

 

ずっと憎い相手だった。

俺の母の兄、…俗にいう伯父ってヤツは俺からしてみれば不甲斐ない男としかいいようがなくて。

命日が来るたびに誰もがソイツのことを思って泣くものだから、そのたびに「██████のようになれ」と言われるのが本当に嫌いだった。

 

だからソイツとの出会った当初の関係は最悪と言ってよかった。

アイツは俺と関わろうとしてくれたけど俺が突っぱねて。

アイツは行く宛てのない俺を受け入れてくれたのに、随分あとになるまで態度を軟化させることができなかった。

 

アイツと暮らし始めて、俺はアイツに向けられていた世間の目のキツさを知った。

俺も「██████のようになれ」と言われ続けていたが、アイツに向けられていた視線や言葉の方がもっとキツかった。

キレそうになる俺をアイツは「慣れてるから」「大丈夫だから」とヘラヘラ笑うだけ。

そう笑うたびに、アイツの顔の火傷跡がぐしゃりと歪むのに俺は…。

 

元の時間に帰れないまま、いつしか俺はアイツの走りに魅せられていた。

何度怪我しても立ち上がって、走り続ける姿にひっそりと憧れて、それで…。

 

「俺が、俺が憧れたお前はンなこと言わねぇ!」

「周りの馬鹿どもが『まぐれ』だって喚こうが、俺だけは!」

「俺はお前が『最強』だって信じてる!!」

 

諦めようとしていたソイツに発破をかけた。

胸ぐらを掴み上げて、そう喚いた俺にアイツは涙を流しながら「…もう少し頑張ってみるよ」と微笑んで。

でも、でも…、

 

「こんなことになるとは思わなかったんだよ…!」

 

アイツは自分の実力を嫌というほど世界に見せつけた。

引退するハズだったくせに期待されているからと海外遠征に行き。

そりゃあ当然だよな!と笑って、アイツを送り出した俺は忘れていた。

 

そのニュースを見た時、思わずテレビのリモコンを床に落とした。

それはアイツが帰国のために乗っていた飛行機が墜落したというニュースだった。

 

ぐるぐると思考がめぐる。

何で、どうして、忘れていた。

あの時、俺が引き止めていれば。

そもそもあの時発破をかけなければ。

 

 

アイツは、()()()()()()()()は生きていたのではないか…?

 

 

「あぁ…」

 

呼吸が、変になる。

…俺を、俺を、

 

おいていかないで、バレット…

 

 

「…なんつー悪夢だよ」

 

目を覚ますとどうしようもなく頭が痛かった。

気だるげに起きて、気分をサッパリさせるために洗面所へと行く。

顔を洗うために鏡を見ると、

 

「…は?」

 

片耳にアイツから贈られた、シルバーバレットが愛用していた黄色い耳メンコが着けられていた。




シルバーチャンプ:
なんか知らんがタイムスリップした。夢か現実かは不明。
馬主である白銀創がシルバーバレットの引退を撤回させたように、コイツも激飛ばして引退を撤回させた。
けれど自分があの時激を飛ばさなければアイツは…という曇らせを起こされた。可哀想が過ぎる。
もちろん同じことが彼の馬主である白銀創にも起こっていた模様。

シルバーバレット、お前ってやつは…(呆れ顔)
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