さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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何に対して?



飢え

「〜♪」

 

今日もご機嫌にご飯を作っていた。

いいお肉が手に入ったのでご満悦で、「喜んでくれるかな〜?」とくふくふ笑いながら下ごしらえ等々をしていると。

 

「……」

「?どうしたの、グローリー?」

 

いい匂いがしたのだろう、触れ慣れた手が肩にきて。

でも話しかけられないのを不思議に思い振り返れば。

 

「え、」

 

目の前にあるのは大きく開けられた口。

それに呆気に取られてしまえばもう後はどうしようもないってモノで、

 

「きゃっ!」

 

がぶりと。

噛み付かれた。

一度ではなく。

二度も、三度も。

 

「〜っ!」

 

がぶがぶと、噛み付かれる。

挙げ句には、ちゅうちゅうと吸い付いてくる。

これは絶対に痕になっているだろう。

 

「や、やめ……っ」

 

がぶがぶと噛まれる度に、その箇所から痛みと熱が走る。

痛いのに熱い。

その連結する感覚に、頭がくらくらする。

 

「グローリー……っ!」

「……」

 

もう何度目になるか分からない呼びかけに、ようやくぴたりと止まって。

涙目で見やれば、じいっと見つめるその目とかちあった。

 

「……」

「……?」

 

視線はそのままに。

べろんと舐めあげられた。

 

「……っ!」

 

もう舐めるとこなんてないと思っていたのに、まだそんなところがあったのかと愕然としていると、更には鼻を噛まれた。

 

「や……っ」

 

それが何を意味するかなんてもう分かりきっているから、抵抗しようともがくも、やっぱりびくともしない。

それどころか、またがぶがぶの次はちゅうちゅうだ。

 

「も……っ、もうやだぁ……っ!」

 

がじがじ。

ちゅうちゅう。

がぶがぶと、ちゅうちゅうと。

 

「〜っ!」

 

もう何度目になるのか分からないそれに、とうとう涙が零れた。

 

「もぉ……たべたいの?」

 

ぐすぐすと鼻を啜りながら問えば。

 

「……(コクン)」

 

その頷きに、また涙が溢れる。

 

「うー……」

 

もうやだ。

 

「おにくへらす〜…!」

 

こんな恥ずかしい思いするならお肉減らしてやる!

がむがむされるくらいなら、このまま口枷でも着けた方がいいんじゃないか。

…と考えた瞬間。

 

「〜っ!」

 

そんなの許さないとばかりに、一層強く齧られるのだった。

 

 

「もー!グローリーったら!」

 

今日も今日とて、なぜか噛み付かれた。

それも甘噛みとかそんな可愛いモンじゃなくて、がぶがぶだ。

 

「今日も痕残らないといいなあ」

 

さすさすと傷を撫でるとチリチリする。

最近めちゃくちゃ絆創膏とかの消費が凄いんだよな。

…基本使ってるの僕だし。

 

「はぁ…」

 

ぺたぺた。

ぺたぺた。

 

「これ、僕も噛んだら分かってくれるかなあ」





がぶがぶ。
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