さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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自己認識と他からの認識。



矛盾

『あの二人の子とは思えないよね』

 

そう、物心ついた時から言われていた。

俺の父さんと母さんは子どもの俺から見ても美人で、そう考えると確かに俺はあの二人から生まれたにしては見事に釣り合っていない。

それでも、俺は父さんと母さんが大好きだったし、周りの大人もそんな言葉を諌めてくれた。

でも、俺が小学校に上がる頃にはもう、その言葉が『不相応』だという言葉に変わっていたのを子どもながらに感じていた。

そしてそれは、俺が中学に上がった時に確信に変わった。

だから、

 

「いや、いいです」

 

誰とも深く関わらないように心を閉ざした。

関わらなきゃいけない時は必要最低限関わるけど、それ以外は極力話さない。

そもそも、俺は誰かと普通に話すことが苦手だった。

何故なのかは俺にもよくわからないけど、多分過去に何かあったとかそんな感じだろうと思う。

自覚はしていないが。

そんな俺を見てクラスの奴らも『あいつは初めからあんなだから』と言いながら遠巻きにするようになったし、友だちと言えるような奴は出来なかったけどそれで十分だ。

友だちが欲しいとも思わないし、ひとりの方が気楽だ。が、

 

「ちゃんとメシ食ってっか?」

「…はぁ」

 

寮の同室であるステイゴールド先輩だけは同室なのもあってか、ことあるごとに話しかけてくる。

 

「またひとりか」

「…先輩がいればそれでいいです」

 

どれだけ無視しても気にせずこうやって話しかけてくるのは先輩ぐらいだし、そんな奴ひとりいればそれだけで十分だ。

 

「はあ……」

 

なんてことを考えていたら、お腹がいっぱいになってきたので。

 

「先輩」

「あ?」

「まだご飯食べれます?」

「きょ、今日もかテメェ…!」

 

 

俺の同室となった後輩-シルバーチャンプは不用意に放り込んだらそのまま貪り食われそうな…そんな魔性の魅力があった。

昔から学園にいるセンコーやトレーナーは「…ありゃ母親譲りだな」と漏らしたのを聞いたあたり、そのセンコーらも少なからずヤバさを感じているんだろうが、俺から見ればそれ以上に。

 

「先輩」

 

だから、俺はそんな子どもがひとりきりでメシを食うのは放っておけない。

 

「またひとりか」

 

ひとりぼっちな後輩に声をかけ、一緒にメシに行くのがいつの間にか日課になっていた。

 

「今日もかテメェ……!」

 

とはいえ。

この年頃用のメニューでも3分の1程度食ったところでギブアップするのはどうかと。

だからお前着痩せならぬ着太りなんだよ!

 

「大丈夫ですって。後で栄養ゼリー飲みますし」

 

そういう話じゃ…!





自分だけが自分を低く見ている…なんてね。
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