似たもの同士。
あの子は、その気になれば誰でもモノにできる人だった。
けれどもあの子は自分自身の魅力にまったくもって気がついてなくて、いつだって途中で手を離していた。
がしかし、
「ごめんなさい、ごめんなさい」
そんなあの子に僕は閉じ込められた。
ぽろぽろ泣きじゃくりながら、それでも僕が好きなのだという目で、
「好きすぎて、ごめんなさい」
あの子に告白された。
だから閉じ込められた。
あの子以外、見ないように。
その日以来、僕の生活は一変した。
まず、美味しいご飯が三食食べられるようになった。
自分ひとりで過ごしているよりはよっぽど健康的な食生活だ。
それ以外にも娯楽等も好きなものが与えられる。
「だけど、これは……」
僕は部屋の中をぐるりと見渡す。
部屋の広さは普通の一部屋ぐらい。
その部屋にあるのは、ベッドと机と本棚が一つずつ。
そして、トイレにお風呂、洗面所といった水周り。
それとテレビが一台だけ置かれていた。
窓はない。
時計もないので今が何日なのかわからない。
ただテレビの番組からすると朝だろうと思う。
「監禁……だよねぇ」
そんな生活がもう…たぶん三ヶ月になる。
その間にこの生活が嫌になって暴れたりだとか、大声で助けを呼んだりだとかは一切していない。
もしそういった事をしていれば、きっとあの子は僕のことを思って、僕を解放しただろう。
だけど僕はそうしなかった。
確かに最初は混乱したし、なんで僕がこんな目にあわなくちゃいけないんだって思った。
でも、あの子が僕に向けてくる目と、その涙を見てしまったから……。
一緒にいてもいいかなって……そう思ったのだ。
「あ、起き、たの…?」
「うん、おはよう」
「ごはん、たべる?」
「もちろん」
「じゃ、じゃあ……じゅんび、する、ね」
とてとてと、あの子が部屋から出ていく。
僕はベッドからおりると大きく伸びをする。
さて、今日も一日が始まるのだ。
「今日は何しようか?」
そうあの子に聞いてみれば……あの子は少し考え込んだ後、こう答えた。
「……抱きついて、いい?」
「うん。おいで」
僕が腕を広げて待っていれば、あの子は遠慮がちに抱きついてくる。
ぎゅっと抱きしめ返せば、おずおずとあの子も抱きしめ返してくる。
「それで、次はどうする?」
そう聞いてみれば、あの子は少しもじもじした後、僕の目を見てこう言ったのだ。
「だっこ」
ああ……もう……本当に可愛いなぁ……。
そんなあの子を僕は抱き上げてあげる。
「えへへ……」
幸せそうに笑うその顔なら、ずっと見ていられる。
「ねぇ」
「ん?」
「……なんでもない」
「そっか」
本当はこう言えばいいんだろうけど。
「僕も好きだよ」って……。
ああ、もう本当に可愛いんだから……。
(愛してるよ)
深深と根を張って依存中。