さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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心配性な先輩だなあ…。



あなたとふたり

シルバーチャンプとステイゴールドが共に暮らし始めたのは、ステイゴールドがトゥインクルシリーズを引退した折りだった。

 

「一緒に暮らすぞ」

「はあ」

 

確かに、シルバーチャンプは過保護な親族の言いつけもあってセキュリティが万全な、その分家賃が高い大きな部屋で暮らしていたけれど。

一人暮らしにしては大きい部屋に暮らしていたけれど。

 

「家具は少ねぇけど後から来る」

「そう、ですか」

 

意外と丁寧にボストンバッグを置いた先輩にシルバーチャンプは慣れた手つきで茶と茶菓子を用意する。

 

「……」

「『別によかったのに』ですか?」

「もらえばいいんだろ」

「すみません、クセで」

 

シルバーチャンプが今ここに暮らしていることを知っているのは親族以外でステイゴールドだけで。

引退後、ふわふわし始めた我が子が心配だと頼まれたが故にステイゴールドは来たのだが。

 

「お前」

「はい?」

「その足で、リハビリ行ってんのか?」

「え?…あぁ、まあ」

 

この部屋にやって来てすぐの玄関に、杖が置いてあった。

で、今立ってお茶などを持ってきた彼女はひどくゆっくりと歩いていて。

 

「…また車買うか」

「え、えぇ、そんな!」

「その足で行動してる方がそんなだよ」

 

間髪入れずに言い返すとグッと声を詰まらせる。

…自覚あるなら頼るなり何なりしろよ。

お前自分の人気分かってんのか?

その足じゃあ、逃げたくても逃げられないだろ…という言葉を今度はステイゴールドが飲み込んで。

 

「とりあえず」

「…はい」

「買い物とか、あるなら着いていくようにするから言え」

「で、でも」

「お前、可愛いんだから」

「かっ…!?」

「…可愛いよ、お前は」

 

目を白黒させるシルバーチャンプに近づいて、ステイゴールドはその頬を撫でる。

相も変わらず、自己肯定感も低ければ、自分の魅力に自覚がないヤツだ。

そんな顔したら…、

 

「オオカミに食われちまっても、知らねぇぞ」

 

 

まさか学園を卒業しても先輩と一緒に暮らすとは思いもしなかった。

そう思いながら、シルバーチャンプは自身を抱き締めてテレビを見やっているステイゴールドを見やる。

 

「…」

「先輩?」

「やっぱ何も面白い番組ねぇわ」

 

はあ、とため息をついたステイゴールドはシルバーチャンプを抱き締めたまま、ゴロンとソファーに転がる。

とはいえ、いつの間に動かしていたのか、ソファーはベッド型になっていて。

 

「こうするとソファーとベッド一体型のやつ買ってよかったな」

「そうですね」

「…このまま一緒に寝るか?」

「そうですね」

「ん」





なかよし二人暮し。
先輩後輩のつもりだけど傍から見ると…?みたいな近い関係性ですね!
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