さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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悪い人のフリをしているだけ。

【追記】
誤字報告ありがとうございます。


◆我らが愛しき偽悪者

シルバーバレットは嫌われ者である。

ヒトの言うことなんて聞かないし、喧嘩をよくして、でも反省文をすっぽかすなんていつものこと。

 

「…ん?あそこにいるのは、」

 

その日、シルバーバレットが見かけたのは同期の最優秀スプリンター様だった。

どうやら他のウマ娘に話しかけられているようで、…すこーしばかりイタズラ心が湧いたシルバーバレットは「んんっ」と咳き込むと、

 

「センセーっ!あんなところにトレーニングをサボってる子がいまーす!!」

 

誰がどう聞いても可愛らしい少女の声を出して嘘をついた。

(普段のシルバーバレットの声色はどちらかというとハスキーである)

シルバーバレットの声を聞き、ウマ娘たちは慌てて走り去っていく。

 

「ハハハ、災難だったな最優秀スプリンター殿?

…ほぅら、飴ちゃんやっからテメェもさっさと練習に行くんだな」

 

 

シルバーバレットは周りから遠巻きにされている。

その日、シルバーバレットが見かけたのは自分より少しだけ大きい芦毛のウマ娘だった。

 

「おいおい、誰がチビだって?

…ああん?ウソはついちゃいけないねぇ。

ほらオハナシしてやるからよ、人気のない場所に行こうぜ」

 

ぎゃあぎゃあと喚くウマ娘を引きずりながら、シルバーバレットは唖然としているその芦毛のウマ娘にヒラリと手を振る。

 

「なんだ、早く行かなくていいのかい?

もうすぐチャイムが鳴る時間だぜ?」

 

シルバーバレットがそう言うとハッとしたようにその芦毛のウマ娘は走り去っていく。

青と赤のハチマキが揺れているのを見ながら、シルバーバレットはさきほどのウマ娘を引きずって人気の少ない方へと歩を進めるのだった。

 

 

シルバーバレットには友だちがいない。

だから自分と対等に話せるような奴に気まぐれに絡んでいく。

 

「よーお、若獅子ィ」

 

その日のシルバーバレットが選んだ相手は新しく生徒会長になった後輩であった。

その後輩は文武両道というか、完璧主義なタイプだったので周りから「アイツ一人で大丈夫だろ」という見方をされている風に見えた。

なので今の生徒会には現状目の前の生徒会長しか役員がいないのだ。

そういうわけで生徒会室には新生徒会長サマしかいないため、シルバーバレットにとって生徒会室は格好のサボりスポットと化していたのである。

 

「今日は何してたって、心配しなくても問題なんか起こしちゃいねェよ。

…なァ、若獅子。僕とワルイコトしないか?」

 

ニヤリと笑ったシルバーバレットが取り出したのは学園の近くにある甘味屋のテイクアウト商品だった。

トレセン学園の校則では基本的に買い食いは禁止されているのだが(黙認している部分は多くあるにせよ)、その禁止事項を生徒の模範となる生徒会長に破らせようとする胆力のある存在は今のところシルバーバレット以外にはおらず、

 

「お、食うのか。

なら、僕もいただきまーす!」

 

そうして、シルバーバレットは今日も嫌われ者な一日を過ごしたのだった。




僕:
自分が嫌われ者だと思っている勘違い系ウマ娘。
ワルぶっていることを周りのヤツら全員に理解されているし、嫌われる以上に周りから慕われている。
ワルぶってはいるが面倒見はよく、困っている人を放っておくことができないタチらしい。
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