さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ただ一介の生徒です。



今日もそこに

シンボリルドルフには目に入れても痛くないほど大切な友人がいる。

その友人は誰もが「あのシンボリルドルフだから」と諦める中で唯一、自分に真っ向から挑んできてくれるウマであった。

頭も良く、また身体能力も一流。

()()()()()()()()()()()()、同期の中では一番の逸材だ。

 

「よく来てくれた」

「ん?副会長たちはいないのかって?」

「そうだな。今日は各々仕事に出向いてもらっている」

 

故に、シンボリルドルフはその友人を重用した。

まあそれには周辺世代が基本的にこういった組織運営に興味が無いというのもあったのだが。

 

「いつも助かっているよ。キミがいなくてはダメだね」

 

ぺこりと頭を下げる友人にシンボリルドルフは表情を緩める。

それは見る人が見れば驚くようなやさしい顔であったがお互い気に止めぬまま。

 

「そうだ。そろそろみんなにもキミが庶務だと知らせないか?」

「…ダメか?もう随分と時間が経ったろう?」

「普通の生徒たちならまだしも副会長のふたりぐらいなら…」

「……ダメ、か」

 

先程とは打って変わって頭を振る友人にシンボリルドルフはそっとため息をつく。

こういうところは昔から変わっていない。

 

「わかった。もう聞かないよ」

「構わんさ。では私はこれから出るがキミは?」

「…そうか」

 

それを聞いたシンボリルドルフはすっと目を細める。

そんなシンボリルドルフを友人はいつも通りに見やって。

 

「せっかくだ、手伝わせてくれないか?いつもキミにばかり負担をかけてしまうからね」

 

仕方なく、こくりと頷いては二人連れ立って行くのだった。

 

 

何故、こんなにも好かれているのだろう。

確かに彼女に一番はじめに話しかけたのは席が後ろだった自分で、それからも何かとペアになるようなことがあれば名前順で一緒になっていたが。

そんな後ろ向きな自問自答に思わず笑ってしまう。

だって、理由なんて分かり切っているのだから。

 

「シンボリルドルフは優秀だから」

 

この学園においてシンボリルドルフの名を知らない者はいない。

ああそうだとも。

ただ単に自分は運が良かっただけに過ぎないのだ。

そう思わなければあまりにも惨めで死にたくなるから、強くそう思うようにしているだけ。

シンボリルドルフは優秀だから。

それに比べて自分は。

 

「ところで、キミがこんな仕事をしているんだ?」

 

そんな思考に耽っていたからだろうか、突然投げかけられた問いに反応が遅れてしまう。

 

───────。

 

慌てて取り繕おうとして。

 

「これはキミがする仕事ではないだろう?本来ならば…」

 

あ、やばい。

優等生である自分はよく"頼み事"をされる。

今回もその一環で…。





影薄そう(こなみかん)。
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