そんなの、向けられていい人間じゃないし。
元から自分自身に期待なんてしてない。
あるのは「自分なんてこれぐらい」という達観だけ。
なにせ、きょうだいがきょうだいなのだ。
そして、同期が同期なのだ。
近くにあんなのがいて、無邪気に夢を見られる方が頭イカれてる。
……だからまあ、諦めるのは慣れている。
他人を羨むのも責めるのも労力の無駄だから、やるだけ無駄なのだ。
けど、どうもその無駄を我慢できない人種というのがいるようで。
「……まだこういう人いたんだ」
こんな自分のことを慕ってくれるのは有難いけれど。
でも、『あなたの方が相応しい』と謀反?革命?を促してくるのはいただけない。
誰があんな面倒くさいこと、わざわざ進んでやるもんか。
「あ、あの、先輩」
「なに?」
「……いえ、その……」
……ああ、もう。
だからそういうのは止めて欲しい。
そんな目で見つめられても困るし、なによりも。
「そもそもキミの名前も知らないんだけど」
「……え?……あ!す、すいません!お、俺ったらなんて失礼なことを……!」
わたわたしながら頭を下げる後輩。
たしか有望株だって言われてる期待の新入生って奴じゃなかったか。
同期に憧れるならまだしも、どうして自分に付きまとうのか。
……まあ、どうでもいいけど。
「あの、俺、中等部の……」
「いや興味無いから」
「す、すいません!でも…!」
そんな問答をしていると聞き覚えのある声が。
「…やぁ。何用だいルドルフ」
振り向いたそこには、どうにも威圧感を出して立っているルドルフこと、【皇帝】シンボリルドルフがいた。
新入生、しかも中等部の子に浴びせかけるには酷なアレじゃないかなあと半ば呆れ気味に見つめようにも、その視線に気づかないほど…何か思い詰めているようで。
「今日は、生徒会での話し合いがあると言ったろう」
「え?…そうだったっけ」
「キミが言い出したことだろう」
「……それは、ごめん?」
ルドルフは何か言いたそうに口をもごもごと動かすも、すぐに切り替えたようで。
「もう始まるんだ。急ごう」
「……ん。分かった」
とまあ、こんな具合に、自分という人間は【皇帝】の威を借る狐なのである。
いや、実際には狐というより塵芥かな。
……いやもうなんでもいいや面倒くさいし……。
「議題はなんだっけ」
「新入生挨拶だ。……キミも出るんだろう」
「ん?あぁ、…そうか。そうなるか」
ルドルフの指摘に適当な返事で返しておく。
そうだ、そういえばそういう話だった気がする。
でも、そんな面倒なイベントに自分が出る?
いや出たくないからこうしてサボっている訳でもないけど。
「キミは、私の傍にいるべき存在だからな」
「…そうだね」
そう、自分だけが思ってるだけ。