さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ちょっと薄暗いタイプのステイゴールドさんとの話。



ふたりで沈む

「俺には才能なんてありませんから」

 

そう言いつつも、他人を踏み潰すことに、他人を屍にすることに、一切の躊躇がない姿に、ステイゴールドは『可愛いなあ』と思う。

だってその姿は必死に人間になろうとしている怪物のようで、とても可愛い。

 

「…でも、もう少しだけ頑張るんだろ?」

 

ステイゴールドがそう声をかけると、"人間もどき"は「はい」と素直に頷いた。

 

『この調子なら、俺好みに育つんじゃないか?』

 

と、そう考えて、ステイゴールドは無意識に微笑む。

 

「じゃあ、そろそろ寝ようぜ」

 

そう言って、また一つ、また一つと、明日も『人間(ゆめ)』の屍を積み重ねていくのだろう。

いつか、その事実を理解し、怪物が壊れた時に、壊れたその身を…出来ればいいなあ、と。

幸せな夢を見て眠りについたステイゴールドはぼんやりと思った。

 

 

周りと違うというのは、何故だか美しく見えて。

手を伸ばすと素直に擦り寄られるのに、どこか優越感を感じる。

懐くまで時間がかかる、警戒心の強いイキモノ。

ステイゴールド以外にはさして懐かない、可愛いイキモノ。

 

「お前、俺のモノになれよ」

「はい、喜んで」

 

ステイゴールドを盲目的に慕っているイキモノはいとも簡単に頷いた。

言ったステイゴールドも思わず呆気にとられるほど、簡単に。

 

「自分で言っておいてなんだけど、いいのか? お前」

「ええ、はい。先輩のモノになれるなら、他には何も要りませんから」

 

彼はそう言って、笑った。

本当に嬉しそうに微笑んだ。

彼はいつだって笑ってるけれど、本当の笑顔を見せたことは一度も無かったのだと気付く程に、邪気のない笑顔だった。

そう気付いた瞬間、ステイゴールドの心はとても満たされた気持ちになった。

ああ、コイツは本気で自分を慕っているのだと思えたことが……純粋に嬉しかったのだ。

今までは自分が彼を守っているからそばに居てもらえるだけだと。

でも、彼は本当に自分の意思で、自分を選んでくれた。

「そうか」とだけ返して、ステイゴールドは彼を抱き締めた。

 

"人間もどき"の彼は、ステイゴールドのモノだ。

だから、他の誰にも渡さないし譲らない。

 

 

自分を大切にしてくれる彼に乞われたから。

端的に言えばそんな理由だが、シルバーチャンプにとっては、そんな理由でも頷く要因になりえた。

それほどに、この彼という人間は、シルバーチャンプにとって大切で、敬愛すべき対象だった。

 

「俺のモノになれ」

 

ある日、彼にそう言われた。

その時に思わず込み上げてきた喜びの感情は到底一言では言い表せないくらいではあったのだが……彼は困惑の表情を浮かべていたから「すみません」と返事をした。

 

「とても、嬉しいです」

 

だから、





ずっと、大切にしてね。
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