共に…?
今生は僕の血を繋がなくてはいけないらしい。
何とか現役を引退したのはいいものの、引退してからというもの次から次へとそういった関係の写真やら書類が送られてくるのだ───全世界から。
こんな自分にはもったいないぐらいに良い人がたくさん、たくさん。
僕を求めて、愛そうとしてくれる。
そんな人たちの気持ちを無下にするわけにはいけない。
「でも……僕は、」
───僕は、まだ、恋すらも知らない。
*
最近の技術とはすごいもので、イヤホン型の翻訳機をつければどの国の相手でも意思疎通ができるのだ。
実際、僕に送られてくる書類の中にはすごい写真だったり、とんでもない言葉での告白もあったりなどするが。
『───────!』
『───!────』
「あ……もう時間か」
今日は月に一回の交遊会だ。
つけていたBGM代わりの映画を消し、外へ行く。
月に一回の交遊会ではあるがそのメンバーは錚々たるもので、見る人が見れば垂涎もののものだ。
「あ、来た来た」
そんな交遊会のメンバーは、今回は気心の知れた仲の者ばかりらしい。
見た覚えしかない顔馴染みに挨拶しながら、いつも通りに美味しい料理に舌鼓。
だが気心の知れた仲だからというべきか、よくある強引に迫ってくるというのがないのは本当に助かる。
……まぁ、こういった場ではあるがいきなり告白されるというのも驚くので、できればやめてほしいのだが。
「そういえば、大人になったよね〜」
「え? あ、そうだね」
20歳の誕生日を迎えてから数年経つが、特段変わりなく。
なにせ僕はお酒なんて1ミリも飲めないみたいなもんだし…いや、タバコは置いておくとして。
「もうそろそろ相手を決めないとね」
「相手って……まだ早いよ」
いちおう何人もの相手と望まれるがままに会ってはいるが、芳しい成果はない。
みんな僕によくしてはくれるが、なんかこう…ときめかないのだ。
いや優秀なウマ娘はたくさんその血を繋ぐべきって考えは分かるんだけど、その過程で色んなウマ娘と…ってのはね。
なまじ相思相愛のお父さんとお母さんを見てきたせいか、それとも僕自身が色恋沙汰に疎すぎるせいか。
「でもさ、もう大人だよ?」
「……うん」
そう、大人。
成人して、やっと学園を卒業した身を考えるとやはり大人としての責任がでてくるわけで……その責任を果たすためにも相手を見つけないとなんだけど。
「でもやっぱりまだ早いよ」
「……ホントに?」
「うん、まだ早い」
だって僕はまだ恋を知らないのだから。
*
交遊会も終わり、帰路につく。
「今日は気楽だったな」
いつもなら、会が終わっても引き止められて最悪は泊まりになりかけるのに。
それを毎度主催の方の職員さんが泊めてくれるから大丈夫だけども。
「…はやく、決めた方がもうめんどくさくなくなるかなあ?」
いつか、誰かを選べるといいね。