さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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しあわせ。



あたたかな

現在、していることを考えるとやっぱり血筋なのかもしれないと考える。

世界放浪。

好きなように、好きなところに行く。

とはいえ、

 

「…ヘイロー」

「ん〜?」

 

一族が所有しているセーフハウスで今日も今日とてどこにも行けないでいる。

ひょんなことから出会った彼-ヘイローは何故だかぼくによく懐いており、気付けば離れがたくなっていた。

食事やらお風呂やら寝る時やら。

彼はぼくと同じことをしたがったので、親心が湧いていたのもあるかもしれない。

そんなこんなで現在ここにいるという訳だ。

 

「今日は楽しかった?」

「うん!バックはどうだった?」

「ぼくも楽しかった」

 

「えへへ」とヘイローは笑った。ぼくは彼の笑みが好きだから、見ると幸せになる。

すると彼はぴょんとソファから飛び降りてぼくの隣に座ってきた。

そして頬擦りしてきてはチュッチュと親愛のキスをしてきて。

ぼくも彼に返してやると、彼はとても嬉しそうな顔をする。

その顔は孫の小さい頃を思い出させた。

 

「ヘイローはさ、」

「うん」

「ぼくでよかったの?」

「え?なんデそんなこと聞クの?」

 

彼はきょとんとした顔を浮かべる。

ぼくは少しバツが悪くて視線を逸らしてしまった。

すると彼はぼくの手を取ると両手でぎゅっと握ってきた。

そしてぼくを真っ直ぐに見ながら言う。

 

「バックだからいイんだヨ。ご飯も美味しイし、可愛いシ」

「ぼくは可愛くないと思うけど…」

「可愛いヨ。それに、ぼくと一緒にいてくれるノはバックだケ!」

「そうなの?」

「ウン!だからずっと一緒にイてネ」

「……そうだね」

 

そう言っているうちにだんだん瞼が重たくなってくる。

ああ、いやだ……まだ話していたいのに……。

寝たくないと思いつつも意識はだんだんと遠くなっていく。

そんな中でヘイローがぼくをぎゅっと抱きしめてくれたのが分かった。

 

 

「おやすみ、バック」

 

 

「大丈夫?」

 

いとも簡単に、彼は自分に触れた。

誰からも恐れられる自分に、易々と。

「手当てしなくちゃ」と焦る様子も、「痛くない?」と心配している様子も、全て偽りなく、彼は自分に向けていた。

 

「怖くないノ?」

 

そう尋ねると彼はきょとんとした顔をした後、嬉しそうに笑った。その笑みがあまりにも眩しかったものだから、自分は思わず目を逸らした。が、

 

「ねェ、バック」

「はいはい」

 

その温かな光から離れがたくなってしまって。

結局自分は、この温かな光に絆されてしまったのだ。

 

「大好き」

「はいはい」

 

 

 

気付けばヘイローは目の前で寝ていた。

随分深い眠りのようだったので、ゆっくりと顔を離して起きあがる。

そしてソファに置いてあったブランケットをヘイローの体に掛けてやった後、ぼくはそっと彼の髪を撫でた。

髪の毛はサラサラでとても触り心地がいい。

撫でた流れでそのまま頰を撫でてやると彼は気持ちよさそうに手にすり寄ってきてくすぐったい。

 

(かわいいなあ……)

 





絆されちゃった!
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