さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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わんちゃん。



可愛い…?

「おはようヘイロー」

「ン!」

 

朝っぱらから突っ込んでくる勢いで抱きついてくる同居人にホワイトバックは苦笑する。

こんなに好かれるようなことしたっけなと記憶をたどるが思い当たる節はない。

でも好かれるのは悪い気はしないし、彼に対して不満もない。

あるとするなら、彼が周囲が言うには中々の危険人物ということぐらいか。

 

(でも、)

「なぁに?」

「…ううん」

(そういう感じは、しないんだけどなあ)

 

ちょっと甘えんぼさんなだけ。

それが、ホワイトバックの認識だった。

 

「えぇと……それで」

「うん」

「撃退しちゃったの?」

「だって、バックに酷いコトしようとしたヤツらでしょウ?」

「まぁそれは…そうみたいだけど」

 

とはいえ。

買い物から帰ってきたら死屍累々だったのは流石に驚いたが。

異様に的確に昏倒させられていた人々に口元が引き攣らなかったかと言われれば嘘になる。

 

「偉いデショ?褒めて褒めて!」

「…うん」

 

わしゃわしゃと撫でてやりながら、返り血を洗ってやらないとなあとぼんやり考えるホワイトバック。

この、血塗れた手と、返り血で濡れた服を。

 

(……まあ)

「偉いね」

(……まァ)

「ン!」

(……でも)

「ン?どうしたの?」

「……なんでもないよ」

「そう?」

 

不思議そうに首を傾げるヘイローに笑ってみせる。

そう。なんでもないのだ。

だって。

 

("掃除"は、最後まで)

 

埃ひとつ、ないように。

綺麗好きなホワイトバックの思考には、その考えがすっかりと根を張っていたのだから。

 

 

その匂いは、ヘイローにとっては嗅ぎなれたものだった。

鉄臭い匂い。

けれども彼が何でもないように振る舞うので何も言わなかっただけ。

だが、

 

「こういうこと、だったのカナァ?」

 

彼が外に出ている時、いきなり家に乗り込んできたヤツらをそこそこに害して。

その余りにもな剣呑さから彼が自分にソレを関わらせないようにしていることに気づき。

だから、念入りにした。

そうして、ヘイローは自分が思っている以上に。

ホワイトバックから親愛を得ていたことを知ったのだ。

けど、

 

(……全部を終わらせて)

 

何も知らせずに。

 

「ボクと一緒に暮らすつもりだったのかナ」

 

彼だけが、傷ついて。

 

 

「……そう」

 

そして、そんな場面を。

そんな一幕を一番バレたくない相手に見つかってしまったホワイトバックは遠くを見つめて呆然としていた。

今年一番のショックだったと言っても差し支えないが、だからといって向き合わないわけにもいかない。が、

 

「大丈夫だヨ。ボクが守ってあげるから」

「え、えぇ…?」





なお忠犬であり狂犬である模様。
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