さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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本人ばかりなり。



知らぬは

弟妹と比べるとあんまり可愛くないのが俺だった。

いちおうは猫かぶりの技能を備えたけれど、それでも男勝りなのは変わらなくて。

満遍なく仲良くしながらも「アイツ〜?無理無理!」と笑いながら言われるのにどうせ無理なんだろうなって。

でも、

 

「好きです」

「はァ?」

 

誰もから人気の後輩に告白された。

まさか罰ゲームか何かかと顔をしかめれば「本気です」と手を掴まれる。

 

「ずっと好きでした。僕と付き合って下さい」

「は、え?」

「返事はいつでもいいです」

 

いや、でも。

口ごもる俺に、後輩くんは笑う。

 

「僕、諦め悪いんです。絶対好きにさせてみせます」

 

だから、覚悟しててくださいね?と。

……いや、あのな?

 

「……お前、それさァ……」

 

思わず顔を覆う。

だってそれは。

そんなのはさァ……。

……そんなのは。

 

「俺じゃない奴に言えよ!?」

 

なんで俺なんかに言ってくるんだよ!

少女漫画も真っ青の理想の告白シーンだけどその相手が俺じゃ駄目だろ!?

 

「だって先輩、可愛いから」

「は?」

 

いや、可愛くない。

……え、いや。

可愛いのはお前の方だろ?

 

「僕って猫かぶってたから、今まで誰も気づいてなかったみたいなんですけど」

 

あ、はい。

そうですね。

…なんかやばい気がする?

 

「僕ら相性いいと思うんです」

「あ、あの…?」

「いい子だと思わないでくださいね?」

 

欲しいものを手に入れるためだったら、何でもしますよと。

まるで手本みたいな笑顔で後輩くんは笑った。

 

「……先輩って、僕の事好きですよねぇ?」

「……っ!い、いや!?」

 

いや、そんなわけがあるはずがない。

……しかしそう思いたくとも目の前の後輩くんは確信を持っている目でこちらを見つめてくるのだから否定しようもなかった。

 

「だって先輩ってばわかりやすいですもん」

「……そ、れはお前だろ……?」

 

俺なんかを構いたがる物好きはこの後輩くんだけだと断言するけれど。

 

「あ〜……鈍感だなあ」

「俺のこと好きなんて言うのはどうせお前だけだし…」

 

きっと一目惚れに近いのだろう。

ちらりと後輩くんを見た瞬間に目を奪われて。

それから事ある毎に暇さえあればそれとなく観察していた。

 

「…先輩を好きになったのが僕でよかったです。他の人だったら大変でしたよ」

「いや……俺なんかにお前以外興味ないだろうけど……」

「……それ、今に言う台詞じゃないですからね?」

 

でも嬉しいですと後輩くんが笑う。

笑顔がまぶしい。

 

「……先輩は知らないかもしれないけど、先輩結構モテるんですよ?」

 

ンなわけねぇだろ。





好きって言われたから、応えただけ。
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