さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

1117 / 1416

恋しちゃったんだ。



好きってなあに?

好きになってしまったものはしょうがないと開き直った。

そして、ウマ娘であるからしてやろうと思えば、本当に微々たる確率ではあるが『継承』というオカルティックなやり方で子どもも出来るっちゃあ出来るから特段問題はなし。

 

(にしても惚れるんならもっとこう…)

 

なんでまあ、可愛がっている後輩を好きになってしまったのだか。

アイツは、可愛い後輩なのに。

そのはずなのに。

いつものスキンシップももう、普通に行えなくなってしまった。

寮の同室なのも気まずい。

 

「……レイちゃん、最近元気ないね」

「そうか?」

「うん。なんかボーッとしてる時多いよ?」

「そうかあ……?」

 

まあ、確かに……。

最近はずっとアイツのことが頭から離れないし、ミスばっかりだし。

いや、でもこれは別に恋とかじゃないし!

ただちょっと気になるだけというかなんというか……!

 

「ねえ、レイちゃん」

「ん?」

「……いやね、もし何か悩んでるんだったら言って欲しいの」

「ありがと、先輩」

 

なにかとよくしてくれる先輩(本人には『アイちゃん』と呼んでとよく言われるが…先輩だからな)に誤魔化すのは気が引けるが、知り合いの色恋沙汰なんて聞いても楽しくもなんともないだろうし。

 

「でも別に、なんでもないっスから」

「……ならいいけど」

「大丈夫大丈夫!」

「そっか……あ、そろそろ私行くね?またねー!」

「はい、また」

 

先輩を見送りながら俺は思う。

アイツは俺のことなんかきっと意識していないだろうし、俺が好きだなんて伝えたら『え?』って顔するに違いない。

いやまあ、そもそも伝える気もないのだが。

 

(……はあ)

 

もうやめだやめ!

元の、気のいい先輩に戻れる努力をしよう。

後輩に想いなんて抱かない、ごくありふれた、普通の先輩に。

 

「あ、レイ」

「おっす、トレーナー」

「……最近元気ない?」

「そうか?いやまあ……ちょっと考え事しててさ。でも大丈夫!」

「そっか……」

 

俺は、この気持ちを伝える気はさらさらないし、きっとアイツが俺に対してそんな感情を抱くことはまずないだろうから。

だからせめて、いい先輩として振る舞おうと思うのだ!

 

(……って)

 

なんで俺はまたアイツのことを考えているんだ!?

いや別に好きとかそういうんじゃなくて、そういうんじゃなくて…。

そんなだから、アイツのいる自室に戻れないままで。

自分を慕うヤツらの部屋を迷惑ながらも転々としている。

学年が違うのをいいことにアイツのことを避けてるし、話しかけられそうになったら別のヤツに先に話しかけてそのまま封殺して。

 

(どうして、他人を好きになるってこんなに辛いんだろう)

 

俺は、アイツと仲良くしていたいだけなのに。

なんでこんなことになってしまったんだろうか。

 

「はあ……」

 

 





諦めようとしてる!
その事実を知られたら…まぁ、はい、うん…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。