希望は燃えて。
世界が滅亡するらしい。
よくある隕石が降ってくるってやつで火星に移住するとか。
その乗船券が僕にも回ってきたわけだけど。
「僕もう年寄りだから僕の子どもたちに配ったらいいのに」
券を届けに来た政府の使いにちゃんとそう告げたものの、にべもなくされ。
書類を通して正式に抗議もしたけれどナシのつぶて。
「ねぇ、サンデー」
「お前んとこにも来たか?」
「まぁね」
やっぱりなあと思いながら親友であるサンデーサイレンスと会う約束をして。
見るからに暗くなった街を歩いて行きつけのカフェに行けば。
「で、どうする?」
「サンデーは?」
「行かねえ」
「ふぅん」
「だってマックちゃんには来てねぇらしいから」
「……」
「…お前だって家族置いていけねぇだろ」
「全部お見通し?」
「お前が言いそうなことなら」
「…ははは、親友冥利に尽きるね」
美味しくもないコーヒーに口をつけながら。
「今度マックちゃんに会ったら言うよ」
「……家族には言うのか?」
「さぁ?来なかったって言ったら納得するんじゃない?」
「そうかね」
「当たり前じゃん、あんま来ないでしょこういうのって」
「……まぁな……あー俺としちゃ可愛い女の子と会えないのはなあ……」
「サンデーらしい」
そう言いあっているうちにカフェが閉まるのでと促され。
「じゃ、またな」
「うん。気をつけて」
夜の街を背にして僕は歩き出したのだった。
それから数日後、マックちゃんに会ったのでその話を持ち出した。
「……そうですか……」
「うん、ごめんね」
「いえ……でも、本当に?」
「うん。だって行っても年寄りだしすぐ死んじゃうよ」
「……そんなの」
「ははは…うん、マックちゃんも元気でね。あの子たちにもよろしく言っておいて」
「…はい」
物資も少なくなってきた。
食も大分貧しくなってはいたけど、なんとかみんな食べていけて。
ただ疎開する人も増えてきていよいよだなと思った時。
「これ」
「……なあに?」
突然サンデーがやって来て白い封筒を差し出したんだ。
「燃やすぞ」
「…そっか」
カチッとライターが着いたのにあわせて、封筒が燃えていく。
いや、いちおうちゃんと外で燃やしてるよ?
「よく燃えるね」
「希望が燃えてるな」
「物理的にね」
「…お前なあ」
「火をつけたのは僕だけど」
「……とりあえず水持ってこい」
「はぁい」
轟々と燃えてら。
近くの水場に…そういやバケツあったな。
消火消火消火のお時間だよ〜。
「えいやっ」
「ノリが軽い…」
「やっちゃったもんはしょうがないよね!」
それでも楽しく生きていこうじゃないか。