さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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お互い様。



子の心親知らず

目を覚ますと今日も同じ部屋。

窓もない、コンクリートで作られただけの部屋。

 

「…」

 

可愛い我が子たちに閉じ込められてもう何日目だろう。

テレビも何もない部屋だから、時間が止まっているように感じる。

 

「はぁ」

 

持ってこられたご飯は、今日も美味しいのだろうけど。

味らしい味が、ストレスか何かなのだろうか、あまりしないので。

 

「お父さん、大丈夫?」

「うん、大丈夫」

「でも、最近元気ないよ?」

「そう……かな?」

「……うん」

 

……僕で良かった?

この子たちを引き取ったのが僕以外だったら、きっともっと幸せだっただろうに。

……ああ。

僕はまた自分のことしか考えてないや……。

 

「ねえ、みんなはさ……僕が死んだら嬉しい?」

「…………え?」

「お、お父さん死なないよね?」

「……わかんない」

 

……でも。

きっと、僕はこの子たちといる限り死ねないだろうなぁ……。

だって僕が死んだらこの子たちはみんな一人になってしまうもの……。

でももし、この子たちが僕と一緒に心中したいっていうなら……まぁそれも悪くはないかな?

いや、全くもって良くないんだけどね?

だけどそれしか方法がないのならそうするしかないし……。

まあでもそれは最終手段ということで。

 

「ね、ねえ!お父さんは私たちと一緒にいて幸せだよね!?」

「うん…」

 

必死な我が子に嘘をつく。

幸せなんて、もう分からないや。

 

「お父さんが幸せなら私も幸せだよ!」

「……そっか」

 

もし、この子たちがここから出してくれたとしても。

 

「……ごめんね」

「どうして謝るの?」

「ううん……」

 

もう……どうでもよくなった。

 

 

「ねえ……本当にやるの?」

「お前だって、同じ気持ちだろうに」

 

睨みつける視線に、少女は一歩後退する。

 

「そ、そう……だけどさ」

「じゃあ迷う必要はないだろう?さっさとしろ」

 

苛ついた様子で兄はスタスタと歩いていく。

 

「ほら」

「……っ」

 

そう言われた瞬間、彼女の体が震え出す。

 

「や、やっぱり……無理だよ……」

 

そして、震える声でそう呟くと逃げようとしたが。

 

「お前が、要なんだよ」

 

いつも優しく、そして尊敬する兄に。

真剣に、そう頼まれて。

 

「お兄ちゃん……」

 

彼女は涙を流した。

 

 

「お父さん」

 

そう呼ばれ、振り向く。

……この子たちは、まだ僕を父だと認めてくれているのだろうか。

 

「ん?どうしたの?」

「えっとね……その……」

 

もじもじする様子に首を傾げると。

 

「……お父さんのことが大好き!」

 

そんな、ストレートな告白をされたので。

 

「……うん」

 

僕は思わず泣きそうになってしまった。

 





ネガる銀弾定期。
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