さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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頭を搔くすがた。



えへ…っ

「やぁ」

 

かけた電話は数コールもしない内に取られた。

 

「どうした」

「さっすがサンデー!…ちょっと困ったことになってさあ」

 

ケラケラと笑ってみせると、電話の向こうは怪訝そうな雰囲気になる。

 

「刺されちゃって」

「…は?」

「結構痛いんだねえ、刺されると」

「お、おい今どこに!」

「んーとね、」

 

近くにあるものをポツポツと話せば「救急車は?」と聞かれたので「もうしたよ〜」と答える。

 

「もう来るんじゃないかな。……ねえ、病院一緒に来てくんない?」

「……すぐ行く!」

 

通話がブチッと切られ。

聞こえてきたサイレンに僕は冷たいアスファルトの上に身を投げ出す。

身体に力は入らないし、服はすっかり血まみれで気分は最悪だ。

死ぬのかなと思いながらも眠くなって意識を手放すのはダメだと思いながら必死に傷口を圧迫する。

 

*

 

「おい、!……っ大丈夫か?」

「……あーうん、大丈夫」

「大丈夫ってお前……」

「ね、これ取ってくんない。さすがにお腹すいてさあ」

「……わかった。ほら」

 

軽く投げ渡された食べ物をもそもそと食う。

死にかけたせいで本能が刺激されたのか、お腹がめちゃくちゃ空いてるんだよね。

 

「っ……げほ、ごほっ」

「ほら、ゆっくり食えよ。また傷開くぞ」

「そうだね〜ゲホゲホ……あーあー、お気に入りだった服が…」

 

せっかく気にいっていたのに血まみれになったから捨てられちゃった。

ひどいなあ、ほんと。

 

「……なに笑ってんだよ」

「え?いや……なんで刺されたんだろうなぁって。死にかけてなんかおかしくなっちゃったのかも?」

 

傷のところを撫でると痛いので、そのまま見ようとめくりあげると「おい」と止められる。

 

「……なに?」

「お前、その……それ……」

「だいじょぶだいじょぶ、お医者様の腕がいいからね」

 

けらけら。

笑ってみるも、サンデーは相変わらず渋い顔だ。

 

「そこまで時間がかからずに退院できるってさ」

「……」

「犯人もすぐ捕まるんじゃない?ま、顔全然見てないけど!」

「…テメェの子どもがまだ見つけてない、のか?」

「あはは、多分ね。いやもしかしたらこれから⬛︎されるのかも?ちゃんと引き渡して欲しいけどなあ」

「……」

「事実だもん」

 

あぁ、早く捕まってくれればいいけれど。

平和が一番だからねえ。

そう考えていると、手を撫でられる。

めちゃくちゃ丁寧に撫でられるもんだからだんだんくすぐったくなってきて、思わず引っ込めると追いかけられた。

 

「なに、」

「……」

「どうしたの?」

「……俺は、」

「うん」

「…………」

「……え?」

 

サンデーが何を言ったのかよくわからずに聞き返すと彼は顔をひどく青ざめさせて、そして……泣きそうな顔になったので僕は慌ててその手を握る。

するとさらに強く握り返されるからちょっと痛いくらいだ。

 

「いや!いやいやいや!!なんでそうなるのさ!」

 

なんでそうなるのか全く理解できなくて叫べば看護師さんがやって来ちゃった…。

 

「……すいません、静かにしま〜す」





何故こうなったのか分かっていない当人。
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