さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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これは無法。



まだ誰も知らないだけ

「いや、さすがに犯罪じみてない…です?」

 

『本格化』というものがある。

それは人それぞれ時期が違うものだが、大概のウマ娘が中高生の時期に経験する。

本格化を迎えたウマ娘は、その身体能力が飛躍的に向上する。

そしてそれは、レースのパフォーマンスにも大きな影響を与える…のだけど。

それはそれとして。

 

「困りますって、()()()

「そんな他人行儀にしないでよ」

「私とあなたの仲だろうに」

「お前にそう言われると寂しいなぁ」

 

友人である三人に囲まれた僕の顔は傍から見ればそりゃあそりゃあアレなことだろう。

周りに助けを求めても誰もが目を逸らすし、なんなら「ご愁傷様です」と手を合わされる始末。

僕はまだ死にたくないぞ。

 

「あの、本当に困るんですけど……。それに僕、フツーにただの中等部生なんですけど」

「知ってるよ?でもそれとこれとは関係なくない?」

「頼む。私たちを助けると思って」

「いやでも……」

「そんな変なことは頼んでないだろ〜?」

 

『本格化』を迎えたウマ娘は、その能力の上昇と共に性格がやや変わることがあるという。

それは『本格化』に伴う闘争心に起因したものらしく、その闘争心を上手くコントロールできないと、俗にいう気性難の気質が表に出てしまうとかなんとか。

 

「いやでも僕、ただの中等部生なんで……」

「だからそれ関係ないって」

「頼むよ。私たちを助けると思って、ね?」

 

この三人組も、そのうちの一人である。

彼女たちは高等部の生徒であり、そしてその中でもトップクラスの実力者だ。

そんな三人が僕に頼み込んできているということはつまり……まあそういうことである。

 

「お願い!今度ご飯奢るから!」

「…ううん、」

 

そりゃあキミと僕らはだいたい同期のよしみではあるけれども。

 

「それでも、さすがにそれは……」

「お願い!お願いします!」

「いやでも……。僕なんかがそんな大役は……」

「そこをなんとか!」

 

しかしまあ、彼女たちの頼みを断るのは心苦しい。

それに僕だって、別に嫌なわけじゃない。

むしろ光栄なくらいだし、ちょっと嬉しいくらいである。

ただやっぱり、僕はまだ中等部生なのだ。

そんな僕が高等部の、しかもトップクラスの先輩たちに混じって、模擬とは言えどもレースに出るなんて……ねえ?

 

「頼むよ〜。キミしかいないんだよ〜!!」

 

このやり取りも繰り返してもう何度目か。

さすがに周りからの視線もなんか…キツくなってきた?ような気もするので。

 

「分かった、分かりましたよ。一緒に走ればいい…んですよね?それだけですよね????」





僕:
シルバーバレット。
現役時代の長さからCBやカツラギと同期だけど中等部になったウマ娘。
これをアプリ準拠にするとトレーナーの手で三年間獲れるだけG1獲ったのにコイツの絶対政権はまだまだ続くよ〜という事態になる。
さっさと海外遠征しろ。
でもしたで海外も蹂躙してくんだろうなあコイツ…。
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