誑かされないようにね?
『サンデースクラッパがメッチャ美人な牝バと歩いてる!』
その話は思春期真っ盛りの彼らにそれはそれはよく刺さった。
聞くに、件の牝バは美しく、出るとこ出て引っ込むところ引っ込んで。
ツンとした唇に少し垂れ目気味の目がまた愛らしくて。
そして何より、彼女の纏う雰囲気というかオーラ?みたいなものがとても良かったらしいのだ。
「あぁ~俺も見てみてぇ……」
「でもよぉ、あんな美人がなんでサンデースクラッパと一緒に?」
というワケで、そんな話で持ち切りに。
「ねぇ、スクラッパ」
「なぁに?」
「…キミが、美人と歩いてたって噂になっているのだけれど」
「……そう、なの?」
目が泳ぐ。
それと共にポタポタと冷や汗らしきものが落ちる。
「……ふぅん?」
「いやっ!違うんだよ!」
「何も言ってないけど?」
「あのね、その、えっと、あの人は……」
言い訳をしようとして言葉が出て来ずあたふたする姿をじい、と見下ろす。
光陰矢の如しとでも言うかのようにぐるりと素早く回った噂は今やコソコソとその件の牝バを見に行く列というか束ができるまでに成長していた。
「……」
「ごめんなさいぃ……」
「別に怒ってはないよ」
ただちょっとだけ面白くなかっただけで。
たしかに、噂になるのもおかしくないほどの美人ではあった。
目線を少し向けて微笑んで会釈するだけで頬を染める者共の数の多さと言えば!
…そんな彼女の横にいるのが他の誰かだったのならそれで終わるというのに。
「…グローリー?」
彼女の隣にいるのが、キミだと皆がいうから。
「何でもない」
まぁ、お似合いではあるのだろう。
キミは誰にでもやさしくて、分け隔てなくて。
来る者拒まず去るもの追わずで。
だからきっと、僕だけが特別ではないんだろうけれど。
それでもやっぱり…ちょっとよく分からないけど、いい気分ではないことは確かで。
「……やっぱり、グローリーもあの人のこと、気になるの?」
「…まぁ、うん」
「そっか、」
空気が死んでいる。
「う、うん、お似合いだよね!だってグローリーかっこいいし!
「いま、何って?」
「グローリーかっこいいし…?」
「その後」
「姉さんを…見初めるのも……」
「
「あれ?言ってなかったっけ…?」
「聞いてない!」
思わず声が大きくなる。
「あっ、ごめんね……」
「謝らなくても良いんだけど……、ッはァ〜〜〜…」
「だ、大丈夫?グローリー…?」
「ん…。大丈夫…」
「そ、そっか…」
【戦う者】:
サンデースクラッパ。
ホワイトリリィの命で自身の様子を見に来た半姉をエスコートしていた。
自身の姉が美女であることにはそれとなく気がついているが姉夫婦の仲の良さを知っているのでナンパされてもすげなくして心折るんだろうなぁ…と思っている(正解)。
【栄光を往く者】に何で詰められたかよく分かっていないが、だがそれはそれとして【栄光を往く者】が姉にほの字になった訳ではないと知りホッとしたらしい(色々な意味で)。
【栄光を往く者】:
グローリーゴア。
誰だ…?
ちょっとモヤモヤしていた。
でも誤解が解けたのではっぴっぴ。
なのでいつもより2倍くらいのペタっと度で【戦う者】とニコイチになるように。
それはそれとして【戦う者】の半姉にちゃんと挨拶した。
【戦う者】の半姉:
シルバフォーチュン。
母ホワイトリリィ譲りの美人さん。
またの名を『無垢の毒牙』。
みんなの初恋キラー。
純粋な子どもたちにぶつけてはいけない女性だよこの人…。