だが暴の者の血筋なんだよなあ…。
昔々、あるところに美しい姿を持つ者ばかりの一族がいました。
その一族は、ほとんどすべての者が美しい白色の髪の毛-まあ今となっては芦毛なのだろうと察しはつきますが-をしていて、毎日お互いに助け合いながら慎ましやかに暮らしていました。
なにせ彼らは、その一族以外の者を見たことがありませんでした。
一族の者は皆、自分が美しいことを自覚していません。
他の者が自分たちほど美しくないことも知りません。
だから、自分たちが他の誰かから「白の」と呼ばれて、ましてやあわよくば…と狙われていることも、知りません。
しかしある日のこと。
一人の一族の子どもが森で遊んでいると、茂みの向こうに自分と同じくらいの影を見つけました。
子どもは興味をひかれて近づきます。
するとそこには、今まで見たこともない、外の人間である子どもがいて。
子どもは驚きましたが、外の人間も驚いたようでした。
「うわっびっくりした!なにお前」
「そっちこそだぁれ?」
「俺は……まあ、ちょっと散歩してただけだっての」
「散歩?このへんにはなにもないのに?」
「……お前、俺が怖くないのかよ?」
「こわいって?おなじにんげんでしょう?」
「……そっかあ……」
そう言われてその人間は、とても嬉しそうでした。
それから二人は仲良くなりました。
彼らは毎日一緒に遊び、一緒に眠り、食事も一緒に…。
「お前の名前は?」
「███」
「そうか。俺は……」
その人間は自分の名前を言おうとしましたが、ふと考えこみました。
そして、子どもに笑いかけます。
「俺の名前は……お前がつけてくれよ!」
「……え?」
「ああ!お前に名前をつけてほしいんだ」
「…………じゃあね……あなたは今日から───」
*
どこにも行く宛てがなくて、逃げた先で彼は今までも、これからも出会うことがないだろうと思うほどの美しい生き物に出会った。
その生き物は誰も彼もに迫害された彼を見てもごく普通に接し、あまつさえ寝床だって一緒にするようになった。
「なあ、お前はどうして俺と一緒にいるんだ?」
彼は聞いた。
「?だって、あなたはともだちでしょう」
その生き物はそう答えた。
彼の心の奥底にある、仄暗い感情など一ミリも知らぬ顔で。
それが当たり前とでも言うように。
「ともだち……か。そうだな、俺たちは友達だよ」
彼は答えた。
その生き物が自分を決して裏切らないと信じて疑わなかったので。
「ずっと、一緒だからな」
彼は微笑みます。
何も知らぬ生き物を抱きしめて。
彼を一心に信頼し、果てには番となってしまった生き物に。
「おれの、俺だけの…」
何も知らないしあわせ。