さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

1157 / 1416

フリなんだ。



怖いフリ

(ピルピルピル…)

「わ〜…。そうだね、怖かったねぇ…」

 

そう苦笑するサンデースクラッパの前には涙目で震えているグローリーゴア。

サンデースクラッパよりも頭ひとつ分程度大きい相手がこうも怯む姿は、少し可愛そうであり…面白い。

 

「でももう大丈夫だよ。ほら、一緒に帰ろう?」

 

そう言ってサンデースクラッパがグローリーゴアへ手を差し伸べると、グローリーゴアは素直にその手を取って立ち上がった。

そして、ふたり手を繋ぎながら歩き始める。

 

(相変わらず、苦手なんだなぁ…)

 

たぶん、きっかけはサンデースクラッパの帯同バとして共に来ていた半姉のヤラズノアメだろう。

そんじょそこらの男顔負けの、グローリーゴアとほぼ同じ身長だった彼女は母ホワイトリリィの美貌+目付きが母と義理父を足して2で割らない凶悪にも程があるものだった。

それにサンデースクラッパが彼の傍にあることを決めるまで睨まれ続けていたのだからさもありなん。

それまで黄色い声とか賞賛とか…そういったプラスの感情を多く受け取っていたと考えると、その反動は大きかっただろう。

 

「でも、もう大丈夫だから。ね?」

 

グローリーゴアがサンデースクラッパに今こうなっているのも、きっと半姉へのトラウマがあるところに、その大本である母に会ったからなのだろう。

……そう思うとそろそろ慣れて欲しい気はするが、それでもこうして手を繋げるのは、

 

(まぁ……)

 

それはともかくとして……。

 

(いつまで手を握ってるんだろう?)

 

先程からグローリーゴアはずっとサンデースクラッパの手を離そうとしない。

それどころか、少し力が入っているような気さえする。

 

「あ、あの……グローリー?」

「……なに?」

「手……」

「ん?あぁごめん。ついね」

 

でも、グローリーゴアは手を離さない。

 

「すまないけど、もう少しだけ…ね?」

 

 

仕方ないなぁ。

そう言って手を繋いだままでいてくれる相手にひっそりと笑う。

はじめは本当に怖かったけど、今となってはこうして()()()()()()をしていればキミが甘やかしてくれるから、恥も外聞もなく、引っ付いていられる。

 

(……けど、いつまでもは続けられないよね)

 

キミが僕を甘やかしてくれるのは、きっと僕のことを弟みたいに思っているからなんだろう。

それは僕も分かっている。

だから、いつかは止めないとね。

でもそれまでは……もう少しだけ……この嘘に甘えさせて欲しいな。

 

「…スー」

「なぁに?」

「今日はハンバーグが食べたいなあ」

「……うん、分かった」





トラウマになっちゃったんだろうなぁと思っている【戦う者】と、もうトラウマじゃないけどこうやって怖がったフリしてれば合法的に【戦う者】が自分を甘やかしてくれるので甘えてる【栄光を往く者】。
【戦う者】以外はみんなそのことに気がついてるんだよね…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。