フリなんだ。
(ピルピルピル…)
「わ〜…。そうだね、怖かったねぇ…」
そう苦笑するサンデースクラッパの前には涙目で震えているグローリーゴア。
サンデースクラッパよりも頭ひとつ分程度大きい相手がこうも怯む姿は、少し可愛そうであり…面白い。
「でももう大丈夫だよ。ほら、一緒に帰ろう?」
そう言ってサンデースクラッパがグローリーゴアへ手を差し伸べると、グローリーゴアは素直にその手を取って立ち上がった。
そして、ふたり手を繋ぎながら歩き始める。
(相変わらず、苦手なんだなぁ…)
たぶん、きっかけはサンデースクラッパの帯同バとして共に来ていた半姉のヤラズノアメだろう。
そんじょそこらの男顔負けの、グローリーゴアとほぼ同じ身長だった彼女は母ホワイトリリィの美貌+目付きが母と義理父を足して2で割らない凶悪にも程があるものだった。
それにサンデースクラッパが彼の傍にあることを決めるまで睨まれ続けていたのだからさもありなん。
それまで黄色い声とか賞賛とか…そういったプラスの感情を多く受け取っていたと考えると、その反動は大きかっただろう。
「でも、もう大丈夫だから。ね?」
グローリーゴアがサンデースクラッパに今こうなっているのも、きっと半姉へのトラウマがあるところに、その大本である母に会ったからなのだろう。
……そう思うとそろそろ慣れて欲しい気はするが、それでもこうして手を繋げるのは、
(まぁ……)
それはともかくとして……。
(いつまで手を握ってるんだろう?)
先程からグローリーゴアはずっとサンデースクラッパの手を離そうとしない。
それどころか、少し力が入っているような気さえする。
「あ、あの……グローリー?」
「……なに?」
「手……」
「ん?あぁごめん。ついね」
でも、グローリーゴアは手を離さない。
「すまないけど、もう少しだけ…ね?」
・
・
・
仕方ないなぁ。
そう言って手を繋いだままでいてくれる相手にひっそりと笑う。
はじめは本当に怖かったけど、今となってはこうして
(……けど、いつまでもは続けられないよね)
キミが僕を甘やかしてくれるのは、きっと僕のことを弟みたいに思っているからなんだろう。
それは僕も分かっている。
だから、いつかは止めないとね。
でもそれまでは……もう少しだけ……この嘘に甘えさせて欲しいな。
「…スー」
「なぁに?」
「今日はハンバーグが食べたいなあ」
「……うん、分かった」
トラウマになっちゃったんだろうなぁと思っている【戦う者】と、もうトラウマじゃないけどこうやって怖がったフリしてれば合法的に【戦う者】が自分を甘やかしてくれるので甘えてる【栄光を往く者】。
【戦う者】以外はみんなそのことに気がついてるんだよね…。