さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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好みの相手がこんな格好したら…ねぇ?



うわぁお

「よーお、そこのかっこいいオニーサン。アタシとイイコトしねぇ?」

 

その日、ヒカルイマイはナンパされていた。

…とはいっても、ナンパしているのは彼の妻であるホワイトリリィなのだが。

 

「……、」

「…や、やっぱキツイよな。オバサンがこんなカッコ…」

 

今の彼女の姿はチューブトップと太ももが見える短いショートパンツ。

そして、いつもの美しいストレートヘアではなく、綺麗にアレンジした髪。

メイクも服装に合わせてか、ギャルっぽい印象を受ける。

 

「え?い、いや!めちゃくちゃ似合ってる、が」

「……ホントか?」

「本当だよ!綺麗だ……けど」

「……そ、」

 

しかし、ホワイトリリィは浮かない表情のヒカルイマイを睨みつける。

キツイならキツイってハッキリ言えばいいのにと、不満を露にする。

 

「言いたいことあるなら言え」

「いや……それは、その……」

「……なんだよ」

 

ホワイトリリィはヒカルイマイの腕に抱きつく。

そして、上目遣いで彼を見つめると。

 

「アタシに見惚れてるって素直に言えよ」

「……あ、ああ。そうだよ」

 

彼は観念したようにそう答えた。

すると彼女は嬉しそうに笑う。

 

「へへっ!ならいい!」

 

そんな妻を見て、彼は思わず、

 

「…へ、?」

 

*

 

「おぉ、母上。昨日はオタノシミだったみたいだな。何より何より」

「…うっせ。ッいて…」

 

クツクツと笑う我が子のひとりである娘に悪態をつくも、瞬間腰が痛み、顔を歪める。

 

「全く……父上は加減を知らんのか」

「あ?お前に言われる筋合いねーよ」

 

ホワイトリリィは冷たい眼差しで娘を睨む。

すると彼女は「ふぅ」とため息をついた後、ニヤリと笑う。

 

「まぁいいや。それより母上よ、父上はどうした?」

「張り飛ばしたんで気絶してらァ」

「…なんとまあ」

 

たまらずといった風にさすがの彼女も父親に同情せざるを得ないようで。

 

「ま、あの父上のことだ。すぐに起きてくるだろう」

「……だといいけどな」

 

*

 

一方その頃、ヒカルイマイはというと。

 

「……ッてぇ……」

 

彼はホワイトリリィに張られてできたタンコブを冷やしながら、長男坊が持ってきた朝食を食べていた。

 

(……あいつ)

 

それはそれとして昨夜のことを思い出す。

彼女の格好はそれはそれは…。

愛しの妻があんな服装して現れたら、そりゃ我慢なんて……。

 

「お父さん、だいじょーぶ?」

「お、おう…」

「頬っぺた痛い?ご飯あんまり進んでないみたいだから」

「い、いや大丈夫…」

「…う〜ん、とりあえず痛み止め取ってくるね」

 

そう言って長男坊がパタパタと去っていく。

…相変わらず、我が子の中ではいちばん無垢だなあアイツは。





お楽しみでしたね。
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