さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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善意なのにね。



未来のために!

「危ない」とよく注意されるが、シルバーバレット含む銀色に列ねる人々はアグネスタキオンのことを好ましく思っていた。

労力を惜しまない努力家。

それに脚も速いし。

 

「いいよ」

 

なのでアグネスタキオンの頼みに、彼らは即刻OKする。

頼んできたアグネスタキオンも困惑するぐらいの速度でOKする。

時たま光るかもしれないが重大な副作用はないと信用しているからなのだが…。

 

「あれ?しないの?」

「い、いやするとも!」

 

淡々と走る。

模擬場にいるのは僕らだけ。

いやそもそも今では使われていない、使われるとしても溢れた時だけの模擬場だからさもありなん。

 

「うーむ……やはり何か足りないな」

「何が?」

「今回飲んでもらった試薬だよ。疲労の軽減を目指したがどうにもこれは疲労を上手く認識できなくなってるのか…?」

「……それはまた」

 

なんともまぁ。

 

「だからそろそろやめよう。もうこんな時間だしね」

「そうだね」

 

気づけば空はオレンジに。

そろそろ戻らないと寮の門限に間に合わないだろう。

 

「また頼むよ」

「うん」

 

僕は一人暮らしだからいいけどね。

 

「あ、そうだ。そういえばキミの友人が……」

「ん?」

「いやなんでもない」

「……そう?じゃあまた明日ね」

 

そうして僕らは別れた。

……何を言おうとしたんだろう?

 

 

「ごめん、今日はタキオンくんの実験を手伝うから…」

「そっか……じゃあ」

「ごめん……」

 

 

「今日もタキオンくんの実験を手伝うから……」

「あー、いや今日はトレーニングしたい気分だから。もしもって聞いてみただけだし」

「そっか……じゃあまたね」

 

 

「……あ、今日ちょっと予定が……」

「……そうか。なら仕方ないな。わかった」

「…………」

 

そんな日が続いていくうちに。

アグネスタキオンの実験に付き合うことが少なくなった。

……いやまぁ元々「そこまで付き合わなくていい」と言われてたんだけどね。

でも「ちょっとデータが欲しいねえ」と聞いて、それを見て見ぬふりならぬ、聞いて聞かぬふりするのはなんか違う気がするし……。

だから僕はアグネスタキオンの実験を手伝うのはやめなかったんだけど……。

 

「……もういいよ」

 

そんな日が続いていくうちに、ついにタキオンから「もういい」と言われた。

その目には怒りや悲しみはなく、ただ疲労だけが浮かんでいた。

 

「え?」

「いやいい。キミはもう…当分来なくていいよ」

「なんで?」

「…気づいてないのかい?」

「何に?」

 

キョトンと問い返すと、呆れたようにため息を吐かれた。

 

「キミは、本当に、鈍感だなあ…」

「?」





いや、善意だからこそ…かな?
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