さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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火を通し続けてたらこうなってたよ〜(笑)。



じっとり

オグリキャップには、寝ても覚めても忘れられない"誰か"がいた。

物心ついた時から、瞼の裏に焼き付いて離れない"誰か"。

鮮烈な光であるその"誰か"を、オグリキャップは。

 

「はじめまして」

 

そんな中で、彼女と会ったのは偶然だった。

自主トレで外に出ていたところ、ふと話しかけられた。

静かで、だがしっかと耳に届く声。

振り返りそこにいたのは小柄な姿。

 

「キミが、オグリキャップさん?」

 

目が合う。

ぼんやりとした灰色の目が、たしかに。

オグリキャップを射抜いていた。

 

「僕は、キミに会いにきたんだ」

 

にこりと笑う。

とはいえ薄く開いた目から覗くソレは。

 

「キミは、すごいウマ娘だ。いずれは中央でもトップクラスになるだろうね」

 

まるで舞台役者のように大振りの手つきで、背の低い彼女は両手を上げる。

 

「今じゃなくてもいい。キミが中央に来たら。その時はどうか僕と───」

「いや、今はいっか」

 

そしてオグリキャップは気付く。

かつてのことを。

さらに──思い出していく。

ああそうだ、私はなぜ今まで忘れていたのだろう?

自分は、このウマにいち早く出会わなければいけなかったのに!

 

「ああ……ッ!」

 

思わず声が漏れる。

だがしかしそれは悲しみからではなく。

彼女から、自分に会いに来てくれたという歓喜からだった。

 

「オグリくん、どうしたの?」

 

そんなオグリキャップに、目の前の彼女が問いかける。

 

「シルバーバレット」

 

だがしかし、今のオグリキャップには聞こえていない。

ただじっと、彼女を見つめる。

その灰色の瞳を。

そして彼女に。

ああそうだ、私が言わなければいけないことは──!

 

「キミと出会えたのが、嬉しくてな」

「えあ?」

 

彼女の目が見開き、口がぽかんと開く。

そんな姿も愛おしいとオグリキャップは思い。

 

「キミの目に映るのは私だ」

 

今までも、これからも。

 

 

愛しのきょうだいから見どころのある子がいると聞き、カサマツに訪れ。

そこで見た件の子が思った以上だったから、話しかければ…。

 

(なんかめっちゃ距離近いな…)

 

すぐさま連絡先交換になったし、その子が中央に移動してきてからはほぼ毎日ひっつき虫になられている。

いやたしかに彼女は僕の妹と寮が同室になったという偶然もあって、こう、仲が良くなっても不思議ではないのだけれど……。

 

「シルバーバレット」

 

今日も今日とて、彼女は僕の名前を呼ぶ。

 

「なんだい、オグリくん」

 

だから僕は、それに笑顔で答える。

 

「ふふ」

 

すると彼女は嬉しそうに笑うのだ。

 

(かわいいなあ)

 

その笑顔は年相応にあどけないが、しかしどこか大人びていて。

 

「シルバーバレット」

 

そしてまた僕の名前を呼ぶのだ。





まだ安牌…安牌かなぁ?
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