さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ぽやぽやなのにヒトミミなのヤバくない?



あの子だけ

生まれ変わったら僕だけヒトミミだった。

他の家族はみんなウマなのに僕だけ。

だから幼い頃は周りから心無いことを言われたし、言われるたびにきょうだいやら何やらが言った相手を殴り飛ばしてたものだからそれを必死に止めるのが僕の役目だった。

 

「大丈夫だよ」

 

とはいえ。

その心無いことの一環で、顔の半分に一生消えない傷を負ったのには「運命ってすごいなあ」と思わなくもない。

 

「大丈夫、大丈夫だよ」

「何が大丈夫なのさ」

「だって元から顔の造形もキミたちには敵わないんだし。それがもっと敵わなくなっただけさ」

「……そんな寂しいこと言わないでよ。僕たちがいるじゃないか」

「でも、僕がちゃんとウマとして生まれたならこんなことなかったはずだよ」

「……それは……」

 

……ああ。

この傷を、この顔を。

みんなは今、どう感じているのだろう。

それを思うだけで胸が張り裂けそうだ。

べったりと焼き付いたソレは、整形手術をしようにも、皮膚の移植をしようにも、一生そのまま。

……でも。

 

「大丈夫」

 

そんな僕の顔を覗き込み、彼は言う。

それは、それは。

ああ……。

なんて優しい言葉なのだろう。

 

「大丈夫だよ」

「……ありがとう」

「だから他のきょうだいにも会ってやれよ?」

「……うん」

「な?」

 

ああ、ああ。

僕はなんて幸せ者なんだろう!

 

 

この家族で、一番上のきょうだいだけがヒトとして生まれてきた。

はじめは不貞でできた子だとか、サラ系だからできた子だとかでやんややんやと騒がれたが、ウチの家族はみんながみんな記憶を保有していたが故、そう言われるたびに喧嘩を買って何倍返しにしていた。

まあ、端的に言うなれば「この子もウチの可愛い子!」と言うやつだ。

なにせ一番上のきょうだいを悪く言うくせに下心満載で引き取ろう()とするやつのなんと多いこと多いこと。

ただでさえ、歳が離れていてもウマとヒトとでは造りがまるで違う。

だからヒトのきょうだいは、他のきょうだいたちよりも成長が遅かった。

 

「そんなに心配しなくてもいいのに」

 

…顔を焼かれたくせによく言う。

自分のせいで家族が悪く言われるのを厭う愛しい家族は、ぽやぽやと笑っている。

だから今もそうだ。

 

『────!!────!?』

「大丈夫だよ」

 

……ああ、くそ。

なんで気づかなかった?

あまりにも最近平穏だったから、そろそろなのではと危惧してたのに!

 

「大丈夫だから」

 

……大丈夫じゃないだろうに!

外からは怒号。

それに慣れたようにきょうだいは僕の耳を塞いで。

 

「すぐ、終わるからね」





肉体が貧弱!
いやまぁヒトミミになっても運命が追いかけてくるとも言うんですけろ。
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