なにかひとつでも残ればいいけどね。
思えばそれは蠱毒だと、気づいたのはいつだったか。
愛する子どもたちが、気づけば自分にバレぬよう蹴落とし合い、見下し合い、排斥しようとする。
……それを赦してきたのは、他でもない自分自身なのだ。
『お前、気をつけた方がいいぞ』
『……あらまあ、ほんとに良い子に育ったわね、羨ましいこと』
『…程々にしろよ、チビ』
年を経るごとに濃くなっていく血の匂いをまぎらわすように、いつも陽気に笑っていた気がする。
そんな異常を感じ取っていたのかいなかったのか、いや────気づいていないわけがなかろう。
ひどく鈍い自分でも勘づいたのだ、他が分かっていないなんて、その方がおかしい。
この悲劇を招いたのは誰だ?
運命なんて最初から決まっていたのか?
甘い
……こんなことになると知っていれば、我が子など持たねばよかったのか。
『だって、サラ系でしょ?』
嘲る声が聞こえる。
それが幻聴だと、知っている。
だけど、だけども鼓膜に染み付いて止まない声は、絶えず僕を蝕み続ける。
『好き勝手、言えばいい』
それに手を出したのは、おぼろげに見えていた雲の彼方に未来があると信じたからだった。
『ただで力をくれてやるわけがないだろう?』
権力を広げる中で、際限なく取り込んだ。
取り込んで、魅了して、離れられなくした。
『バカだろう、お前』
もっともっと、
その実を食らって狂っていったのは、他でもないこの自分自身だったのに。
────ああ、でもね? この程度で済ませる気はさらさらないよ? もっとキミたちを愛して、満たそうと思う。
気が狂うまで
呪い殺すほど愛してあげよう。
もう今更間に合わないけれど、今度は振り払わないから。
「だから」
ぼくのゆめを、かなえてよ。
*
見ようによれば、愚かな父であったように思う。
それを他のきょうだいに言ったが最後、集団で███されることは分かりきっているので、絶対に言わない。
「あの人は今どうしてる?」
「……」
何も言わないでいると美しい母は美しい顔で怒り狂って見せて、金切り声をあげた。
「……僕もう行かなきゃなんだけど」
「なんでそんなッ」
「……………………」
喉が微かに上下するのを見て、見まいとしていた現実に引きずり戻される気がした。
ああ────僕も結局はあの人の子どもなのだと、冷めた頭で思っていた。
……見てくれはやさしい癖して、その実は冷酷。
自分のことも、他人のことも考えやしない行き当たりばったり。
それは『
「出かけます、お母様」
「待ちなさい、話はまだ終わってないわ!」
「お父様は、…お分かりでしょう?」
「……っ!」
母は顔を真っ青にして、そのまま床にへたり込んだ。
……この分では、当分は使い物になりそうもなかった。
ああ、本当に。
「バカだったなあ……」
あの人が何をしたかったのか、今となってはもう分からないけども────きっとあの人はただ、誰もが鼻で笑うような、だがしかし、誰もが普遍的に求めるものを望んだだけで。
「かわいそう」
…自分も、その他も。
蠱毒の結果は?