ねぇ、誰か。
チーム:アルデバランのリーダーであるシルバーバレットはただいま現在トゥインクルシリーズを無期限休止中だ。
本来ならドリームトロフィーリーグに移籍してもおかしくない戦績だが、当の本人がそうしているのだから外野にはどうする権利もなく。
「時が来たら現役復帰するさ」
チームメンバーの面倒を見つつ、シルバーバレットはそう言う。
言外に望まれる望みに誰もが「そんなの現れるわけがない」と思うが。
……そう思っていないと、やってられないのか。
誰もが渇望する"星"。
ギラギラと輝く、希望であり呪い。
競走バであるなら、誰しもが一度は焼き焦がされる。
己の弱さ、その罪深さに。
『どんな選手にも真摯に教えてくれる』
『理想的な選手』
語られるそんな要素は本質を捉えきれていない。
それは本性を覆い隠す仮面だ。
あの、シルバーバレットの本質は───。
*
誰も、僕に届いてくれなかった。
それは、孤独だった。
影すらも踏まれなかったレースにちょっとした失望を覚えたのと同時に、それでも諦めきれなくて。
(なら、───育てよう)
まるで、自分のような。
孤独な、最強を。
誰も追いつけなくて、介在できなくて。
ただそこにある。
必勝にして無敵の、絶対の。
*
『トゥインクルシリーズに新星現る!』
そんな見出しが躍るスポーツ新聞。
『無敗の三冠か!?』と銘打たれたその記事には、ある一人のウマ娘の写真が載っている。
「……」
それを、シルバーバレットはどこか嬉しそうに見やる。
「ようやく、か」
「どうかしましたか?」
「いいや、」
不思議そうに自分を見やる副官にシルバーバレットは誤魔化すように笑う。
それに副官は訝しそうにしたが、シルバーバレットに話すつもりがないと悟ると視線を窓の外に移した。
「思ったよりも、掛かったなぁ」
ポツリとこぼれた本音を副官は聞かなかったフリをする。
当のシルバーバレットがそれ以上話すつもりはないようで無言を貫いたからだ。
・
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「本当はさ」
「見込みのある子はそれなりにいたんだよ」
「でもさ、あの子たちには大切な相手がいたからね」
「だから────奪い取るなんて可哀想じゃない」
故に。
たった一人で、孤独な最強を。
誰も共にあれない最強を。
そんな相手なら。
「僕と、いっしょ」
……そう、シルバーバレットは笑った。
「……なんてね」
その笑顔を見た誰かがいたなら。
それはまるで、狂人の笑みだった。
「はやくはやく、成長して欲しいねえ」
ひとりは寂しい。
寂しい、寂しい、寂しい、寂しい…。
「…冗談だよ」
ひとりぼっち。