過去から現在への挑戦状。
グッバイサンセットは誰もが認める天才である。
幼き日にかのシルバーバレットに見出され、そこから流れるように牡バ三冠を勝ち取ったウマの大半に可愛がられた。
それは素直で無垢な幼子であったからというのも理由のひとつではあるが、一番大きな理由はグッバイサンセットの走りの才覚が───その当時の年齢を差し引いても圧倒的過ぎるほどのものであったから。
同年代…いや幾分歳が上であろうが敵いはしないだろう、肉体も精神も、いるものすべてが揃った子ども。
しかも教えれば教えるほどスポンジに水を染み込ませるようにスルスルと体得していく。
これが面白くないわけがない。
トレーニング施設諸々は子どもを引き取ったシルバーバレットが完備していたから、あとは指導だけ。
これならこの子も楽しめるだろう、とそれぞれが用意したのがターフを支配する競走バとしての道を歩ませる決定打となった。
もっともそれはある意味当たり前の話ではあるのだが……。
引き取られてしばらく経った頃には、遠にグッバイサンセットは飽きることもなく走ることを渇望しており。
その渇望を、グッバイサンセットを可愛がる彼らは肯定したから。
大人げのなく、本気を出す彼らと競うことが楽しくて仕方がなかったのだと、後のグッバイサンセットは語る。
そんな普通の子どもの片鱗すら見せなかったグッバイサンセットが、初めて表した夢。
それが誰の目から見ても明らかな三冠レースの制覇であった……という話を聞きつけたのは果たして何人であったのだろうか。
それを耳にした中央所属のトレーナーたちが次々と挙手をしだすというのは普通に考えればありえる光景だろうが、しかしあのシルバーバレットから目をかけられているという時点で十分予想出来た結果に…。
「……あなたがいい」
かつてのシルバーバレットによく似た、茫洋とした目がその男-白峰透を射抜く。
『最強の三冠バ』の降臨だ!と各々が目を輝かせた。
自分こそが三冠バのトレーナーとしてその名を轟かせるのだと、そう思っていたときだったからこそ落胆は大きい。
がしかし、
「……まぁ、」
───あの子は僕らの言うことしか聞かないからねぇ。
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グッバイサンセットは天才である。
周辺世代はみな彼に蹂躙され、彼を知る世代は彼に陶酔した。
その誰にも負けないことを己が脚をもってして証明する才能を持った者だけが大成する世界。
それがレースというものの世界だ。
とはいえ、
「───────」
あまりの強さは時に人を狂わせる。
確かにこのウマは天才であった。
磨きに磨かれた才覚を十二分に発揮し、ついぞクラシック三冠全てを取った怪物。
しかしながら、栄光は長く続かないものである。
どれだけ眩く輝こうが、どれだけ楽しくレースを行おうが……その終わりは突然に訪れるものだ。
「…?ぼく、ドリームトロフィーリーグには行かないよ?」
「だって、ドリームトロフィーリーグに行くよりも家に来てくれるおじさんたちと一緒に走る方が面白いし」
なお勝てるとは言っていない。