これで暖かいですね!
寒いなあと息を吐くと「どうしたんです?」と後ろから【飛行機雲】が抱き着いてくる。
「いや、さみぃなって」
「ああ…そうですね」
ちゃんと防寒装備もしているのだが、ちょっと出ているところが寒い。
【飛行機雲】も同じように防寒装備をしているが、違うところはそれで平気そうにしているところで…。
「せあ」
「ん?な……んむっ?」
呼ばれて振り向いた瞬間に…。
「……人が見てんぞ」
「大丈夫ですよ。みんな思い思いにやってますし」
確かに、と周りを見ると、確かにみんな話したり携帯見たりしてるが……いや、いるだろ。
絶対何人かはこっち見てるぞ。
「……なんてことするんだよ……」
「先輩が可愛いのが悪いので」
「お前な……」
へらへら笑ってるこいつに呆れながらも、その頬をぐにーっと伸ばす。
「痛いですって」
「少しは反省しろっての」
とりあえずさっさと食べてしまおうと、持っていた菓子の最後の一口を放り込む。
「先輩」
「ん?」
横を見ると……。
「な……っ!」
「……ごちそうさまでした」
ぺろりと唇を舐める【飛行機雲】の仕草にポコっと頭をたたく。
「……お前」
「すみません……なんか、可愛くて」
「おかしいだろ!」
「おかしくないですよ。可愛い先輩に愛を伝えて何が悪いんですか」
……なんでこいつこんな堂々としてるんだ。
いや、他の人も見てるからほんとやめてくれ。
「……頼むから」
「……それは嫌です。誰もいないときにもう一回しますね?」
だからそういうことを言ってるんじゃないんだが?
もう何を言っても無駄そうだとため息をついていつも通りにするが、やっぱ視線が気になって仕方ない。
(まぁでも)
「先輩」
「お前は可愛いなあ」
「…もう」
自分を好きだと行動で示してくれる彼を無下にできるわけもなく、結局それを受け入れるのだが。
そして、そんな二人を見て、周りが「うっわ……バカップル……」と呟くのはもう少し後の話。
「先輩」
「ん?」
「……寒いです」
「……だな」
冬も終わりが近づいてきたとはいえ、まだまだ寒い日が続く今日この頃。
そんな日に運動でもしましょうなんて言ったのは【飛行機雲】だ。
いや、確かに今日はいい天気だし、風もそんなにない。
だから外で軽くトレーニングする分には大丈夫だろうけど。
「運動するために出てきたんだろが」
「え〜、でも…」
「?」
「……なんか、思い出しませんか?」
何を?と聞こうとする前に、またちゅっと。
「えへへ」
「お前なあ」
やめろっつってんだろと言うと、頭にやった手でヨシヨシと髪を混ぜられる。
「可愛いですね、先輩」
親愛…今はね。