さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ついにバグりだした。



過多

別に、初めからなりたくてなったわけじゃない。

そこそこ他の夢もあった中で、その世界に入ることにしたのは。

 

『─────』

 

夢で見た"あの子"に一目惚れしたから。

 

 

僕はとても優秀な父と、どっちかと言えば三流よりの二流の母から生まれた子どもだった。

きょうだいは一つ上に姉がいて、普通に仲がいい。

ありふれた家族…というには、家が使用人やら庭師やらいる良家ではあるが。

ある日の学校で。

 

「聞いたか? あの話」

 

クラスメイトが話をしているのを小耳に挟んだ。

何の話だと聞こうとすると、すでに彼らは他の話題で盛り上がっていて聞けずじまいだった。

……いつものことだ。

僕にそういった情報がしっかり回ってくることはそうない。

 

「すごいね、キミ」

 

だから、あのレースの後に話しかけられた時は驚いた。

 

「……え、えっと、」

 

目の前のこのウマが夢で見た"あの子"だと気づくまで一分もかからず。

 

「一着おめでとう、───サンデースクラッパ…選手」

 

そうして、僕は魅入られた。

だってスーは間違いなく、あの日、僕の夢を決定づけさせた…。

 

 

「スー、大好き」

「はいはい」

 

年々、想いが重くなってきてるよなあと思いながら頭を撫でれば、ぐぐぐ…と体重をかけられて。

「わあ」と言いながらベッドに転がれば、そのまま抱き締められて。

「好き好き」とデロデロな甘ったるい声と共に、甘えられる。

 

「……僕もだよ」

「やっと言ったぁ」

 

これが初めての告白ではない。

数年前からこんなことをされているし、こうして照れずに言葉を返すようになったのだって最近の話だ。

 

「……うん」

「……僕はスーがいてくれなきゃダメだよ?」

「大袈裟だなあグローリーは……」

「好きだよ……愛してるよスー……」

 

なんでか今は僕が甘やかされたい気分なのに、なんでこんなに甘やかしてるんだろうと思いながら顔を見られなくてよかったと心底思った。

なにせ今の僕の顔は茹でダコも真っ青なほど赤く染っているだろうから。

 

「うん……僕も」

「大好きだよスー」

「はいはい」

 

この幸せが、ずっと続けばいいのにと。

そう、思うんだ。

 

×

 

魂から、覚えてる。

何度生まれ変わったって離しやしない。

キミがキミである限り。

いや、キミがキミでなくとも。

愛している愛している愛している。

僕はもうキミじゃなきゃだめだ。

だって、僕にはキミしかいないんだ。

だから。

だから……だからこそ!

ああ! ああ!! ああ!!!

 

「また発作が起きてる…。ほら、グローリーよしよし、よしよし…」

「スー……好き……大好き」

 

ああ、ああ、ああ!

 

「うん。僕もだよ」

 

…ああ。

 

「大好きだよグローリー」

 





ずっとずっと覚えてたらオーバーフローしはじめちゃったや…。
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