ジャンル:青年漫画、競馬、競走
漫画
作者:シロガネ晴
出版社:講×社
掲載誌:『月刊アフ○ヌーン』
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あのころの俺はただのどこにでもいる漫画家志望だった。
よく言われる言葉は「絵は美味いんだけどストーリーがね…」という金太郎飴を切ったみたいな文句で。
俺には絵の才能があった。だがそれと反比例するくらいに話を作る才能がなかった。
何度やっても落とされてばかり。
いつしか漫画家を目指すなんて辞めて、普通に働こうか…なんて考えていた、あの日、
「…すげぇ」
俺は小さな四角い画面の中にいた存在に魅せられた。
"彼"を描きたいと思った。
今まで競馬なんてろくに見たことがなかったのに。
たった一度見た"彼"に魅せられて、"彼"のことを時間を惜しまずに調べてまわった。
そして調べて思った、───なんとドラマチックな生だろう、と。
"彼"のことを知れば知るたびに"彼"を描きたいという気持ちが募っていった。
そして、
「キミが…」
「は、はい、そうです!今日はよろしくお願いします!」
「…そんなに慌てなくていい。落ち着いて」
俺はいつしか"彼"に関わった人間に直接話を聞きに行くほどになった。
"彼"のことを描きたいから取材させてくれと、断られても、何度断られても手紙を送り続けた、電話をし続けた。
そうするといつしかみな「キミの熱意には脱帽するよ」と取材を許可してくれて、
「白峰透です。…今日は、よろしくね」
「は、はい!」
最後には"彼"の一番近くにあった人の言葉を聞くことができた。
彼らはみな"彼"に関するいろいろなことを教えてくれた。
ここまで教えてくれていいのかという情報も中にはあったが「キミなら悪く言わないだろう?」と言われてしまえば気が引き締まるというもので。
「ぜ、絶対、俺!この作品を世に送り出します!
"彼"のことを後世に残します!忘れさせたりなんか、しません!!」
そうして俺は数年がかりで"彼"の生を漫画に描いた。
その過程で夢だった雑誌連載ももらえた。
漫画の売り上げは題材が競馬だからかあんまりだったけど、自分が思った以上には売れてファンレターだってもらえた。
『"彼"を描いてくれる人がいて嬉しい』と、誰もがそう書いてきて。
「やぁ」
「し、白峰さんお久しぶりです!」
「あぁ、久しぶりだね」
それから何年かあと、漫画の最終章の区切りの対談として数年ぶりにまた白峰さんと出会った。
対談の中で白峰さんに「あんまり漫画は読まないんだけど…この漫画だけは雑誌を買って読んでるよ」と言ってもらえたのには思わず嬉し泣きした。
「本当に、"彼"のおかげだなぁ」
"彼"を描いた作品は俺の代表作になって。
"彼"を描き終えたあとも俺は漫画家として生きていく。
生きて、いける。
…それは、『夢』を叶えた物語。
漫画家:
ペンネーム・シロガネ晴。
元々は絵が上手いがストーリーを作る才能が全然なかったただの漫画家志望だった。
夢を諦めかけていた時に"彼"を見た結果、魅せられる。
その魅せられっぷりは雑誌などを調べるに飽き足らず、"彼"の関係者に話を聞きに行くほど。
ペンネームも"彼"の名前から連想してもらった。
『夢』を叶え、『夢』を駆ける誰か。
The "SILVER BULLET" 〜LEGENDARY SCAR〜:
後の人気漫画家・シロガネ晴のデビュー作であり、いちばんの意欲作。
とある競走馬の伝記であり、その競走馬に関わる人間のロードムービーでもある。
連載当時からカルト的な人気を博していたが、後年ウマ娘が始まったことにより脚光を浴びる。
脚光を浴びた結果、愛蔵版が出版された。