さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

1232 / 1416

馬も馬なら騎手も騎手!



エッセンスはある

白山晴人が尊敬する先輩-白峰遥は人間味が薄い。

コミュニケーション能力はドベもドベだし、家事とか本当にできないらしい。

なので気づけば晴人が同じ厩舎所属という縁もあって同居して世話をしていた。

遥自体そういうのにまったく頓着のない人間であるからして、「水道代もったいないし一緒に風呂入らない?」やら着替えも平気でするし、下着で部屋をふらふらしたりする。

晴人だって尊敬する人がそんな格好なので内心でドギマギしたものだが、なんか遥だからいつものこと、という境地に至ってからは気にならない。

……ああいうのを枯れてるっていうのかもしれない……。

他の先輩方がどう思ってるのかは知らないけれど。

ただまあ、遥は人間味が薄い代わりに動物に好かれるタイプであるらしい。

厩舎で世話している馬も含めて野生動物も皆遥にはよく懐くし、晴人にはたいがい初対面はそっぽを向く。

これはもう刷り込みみたいなものなんだろう、と晴人は思う。

実際遥が生き物を世話しているのを見るととても上手に世話するのがよくわかるし、馬だってそれがよくわかっているのか。

いやまぁそもそもが人間らしいというか、動物に近い人だから、動物の警戒が薄れるのもあるんだろうけれども。

 

「晴人」

「はいっ!」

「ご飯行こう」

「…はぁい」

 

連れていかれるままに晴人は遥と街へ出る。

遥は食にこだわりがないから、外食するときはたいてい量があるものを選ぶ。

今日もその例にもれずで、大盛りメニューをしているラーメン屋に入る。

晴人としてはもう少し栄養のあるものを食べてほしいのだが。

……まぁでも先輩だしなぁ……。

 

「よく食べますね」

「んむ」

 

にしても、本当によく食べる。

体重制限なんてまったく考えていない勢いで食べているが、食わないと体重が減る体質というから本当に羨ましい。

いくら食べても太らないというのは、晴人も含め騎手にとってはまるで夢のようなもの。

結局遥は一時間以内という制限のついた大盛りラーメンを二杯完食し、追加で大盛りチャーハンまで注文した。

そうして腹ごなしと決め込んで散歩しつつ帰路につく二人だったが、ふと脇道を歩いていると遥が足を止めてそちらを見た。

何か気になるものでもあるのかと視線を追えば、そこには小さな花屋があって。

 

「どうしました?」

「いや、親戚の子が喜びそうだなと」

「…ふぅん」

 

この人、仲のいい人いるんだと多少ムッとするも当の本人は健気に花を選び始めるものだから。

 

「あ…でも渡す予定ないな」

「…まあウチで活けましょうよ」





気軽に脳を焼く白峰遥定期。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。