他人から好かれやすいけど。
僕の一族は、物心ついた時には既に他人に好かれやすい体質の者が大半で。
そんなだから誘拐とかも多く、自衛手段を学ぶのは当然のように。
気づけば疑い深くなっては、他人からの好意を信じられなくなる。
だって今まで自分を好きになってくれた人みんなが、最終的にはおかしくなるんだから。
誘拐したり、無理矢理…ってのが多いのなんの。
「だから、その」
そんなのが嫌になって。
他人と距離を取るようになり、僕が僕でいられることに安堵していた。
けど……この体質は年々酷くなっていってるみたいでね?
「もう……限界なんだ」
……いやまあ。うん。
わかってるさ。
あれだけ熱の篭った視線を向けられていればね。
別に好きじゃなかった相手でも、毎日まいにちされると好かれてるって実感は湧きやすい。
……僕でそんな純粋な反応をしてくれる人なんていなかったもんだから。
ああくそ。
顔が熱いぞ……もう!
「……あー、その」
気恥ずかしくなっていたことを隠すために話を変えることにする。
いやうんそれ間違ってない、はずなんだけどね?
なんでこのタイミングで視線向けるかな!!
「……キミは僕のなにが好きなんだい?」
もうほとんど自棄になって突っ込むと僕のことを好きなあの子は笑みを浮かべるだけだけどさ……!
……なんでこんな恥ずかしいんだか。
「そう……」
伝えられた量があまりにも多くて軽く引く。
どこからどこまで見てんだこいつと、思わず真顔になる。
……いやまあ。うん。
好かれてるのは嬉しいし?
今までは好きが反転して嫌われることの方が多かったから、無垢な好意を向けられて嬉しくないわけがなくってね?
……ただその量が多すぎて処理できないだけで!
いやもう本当にどこから僕のこと見てたんだこいつ!?
あああああああもおおおおおお!!!
僕は頭を抱えた。
もうなんか色々ごちゃまぜになってよくわからなくなってきたけど!
そんな僕を見てあの子はまた笑うのだ……!
ああもうちくしょうめ!!
なんでこいつはこんな余裕なんだ。
僕はこんなにも取り乱してるというのに!!
「可愛い」
「あっそ」
思わずぶっきら棒に返してしまう。
ああもうこれだから嫌だったんだ。
こいつの前では強がりもなにもかも溶けてしまって、結果的に僕はただの人みたいになってしまうのだから。
……なんでこいつは僕が好きなんだろう?
そう考えだすと、また顔が熱くなってしまうから慌てて思考を切り替える。
……まあでも、うん。
それはおいおい聞いていけばいいし?
いや別に聞く必要はないんだけど!
なんでか気になってしまったので!!
とりあえず今は目の前のことに集中しよう!
よしっ!! ってああそうだ!
「また一緒に遊びに行くところ決めといてよね!」
真摯に向き合いましょう。