さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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無垢に依存。



あなたがいい

先輩って、ホント変な人だなぁ。

俺なんかに優しくしても何も見返りなんてないのに。

それに俺を俺として見てくれるのも珍しい。

だいたいは俺をレッテルで見るというのに。

にしてもなんで先輩は俺なんかに構ってくるんだろう?

……優しいからかな?

だから、俺は先輩のことが嫌いになれないでいる。

いや、むしろ好きなのかもしれないな。

だってこんなに優しくされたのは初めてだったし……。

それにこんな俺と仲良くしてくれてるし……。

なんでかはよく分からないが俺は先輩が気になるんだ。

でもそれはきっと恋とかそういうのではないと思う。

だって俺にはそんな資格なんてないからね。

 

「チャンプ」

「はい」

 

先輩に名前を呼ばれるのが好き。

先輩に頭を撫でられるのが好き。

遠慮して、両親にも頼まなかったソレを、俺は先輩で代用している。

自分よりもやや大きい先輩に抱きつきながら心臓の音を聞いてホッと息をつく。

先輩が触れているところが暖かくて、気怠いけどそれが心地よくて……。

俺はこの時間が一番好きだな。

先輩の匂いはなんだか安心するし、それに……。

あぁでもそろそろ離れないといけないかな?

もうこんな時間か……。

名残惜しいな……でも仕方ないか……。

そう考えて先輩から離れようとした時、俺の体が先輩に抱き寄せられた。

……え!?ちょ!なになに!?

急にどうしたんだ!?

あたふたと慌てる俺に対して先輩は何も言ってくれない。

……いや違うか。

言外に『離れるな』と告げている。

先輩の手が俺を優しく撫でる。

その手つきはまるで子どもをあやすような動きで、けれどとても優しく愛しく撫でてくれた。

……それがどうにも心地良くて俺の瞼がだんだん下がっていく。

先輩が微笑う気配を感じる。

なんで笑うんだ?

俺に構わず好きなことしてほしいんだけど……ってなんだ?

片手が俺の上でポンポンとリズムをとっている。

あやす様なそれは余計に俺を眠気へと誘ってくるというのに、ダメだと思っていた意思に反して体はそれに逆らえずに俺の意識はストンッと落ちたのだった……。

 

 

シルバーチャンプは甘えるのが下手だ。

聞けば幼い頃から下のきょうだいがいるから親に甘えたことがなかったらしい。

「もう慣れたこと」と本人は言うがそれとなしに撫でたり抱き締めたりしてやると…本当に嬉しそうな顔をするものだからついつい……。

結果、シルバーチャンプは甘え上手になった。

でもそれは俺限定らしい。

だから、俺がいる時だけこうして甘えてくれるのが俺は嬉しいんだ。

そのせいかここ最近、俺の中の何かがおかしい気がするのだが……これは一体なんなのだろうか……?

 

「先輩」

「おー」

 

俺よりも小柄な体が遠慮がちに身を委ねてくる。

いつも通りに撫でてやれば表情がゆるみ、言葉の代わりに雰囲気がより一層安心しているものとなった。

今日もまたその頭を撫でる。

相変わらず俺の手にサラサラとした髪が絡んでは解けてを反復するだけを繰り返しているうちにシルバーチャンプがうつらうつらとし出したようで……段々と瞼が閉じていくのが見えた。

そろそろおねむかな?と撫でる手を止めるもそれはお気に召さなかったようで俺の服の裾をぎゅっと掴んでくるものだから思わず笑みが溢れてしまう。

そんな俺に何を勘違いしたのか、少しムッとした様子で睨んできたもののすぐに撫でてやる。

 

「可愛いな、お前は」





心の内を知らず。
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