とっくのとおに捕らわれている。
「……もしかして、ジャーニー?」
幼なじみであるシルバープレアーとドリームジャーニーがトレセン学園で再会したのは単なる偶然だった。
幼い頃のひと時を過ごした友人。
一時的にドリームジャーニーの実家の付近に越してきただけで一ヶ月もしない内にすぐ引っ越して行った、普通なら記憶の片隅に追いやられるような、友人。
「あんまり変わらないね」
そんな友人をドリームジャーニーが覚えていたのは…幼き日の彼女を見て、「こんなに綺麗なウマ娘がいるのか」と半ば呆然としたからだ。
テレビや雑誌で見るどんなウマ娘よりも、魅力的で美しく見え……もっと彼女を見ていたいと思ったのにある日すぐに引っ越してしまった事がずっと悔しくて仕方なかった。
忘れられるわけが無いのだ。
そして───やっとまた出会えた。
次の日から朝学校に行く時は彼女と一緒に行くようにしたし、帰りに彼女が寮に帰る時も偶然を装った程だ。
(笑顔が可愛いな)
そうと決めてしまえば眺めるだけで良いと思っていたのに段々それでは我慢出来なくなってくる。
お近付きになりたいと思うようになったのがいつだったのかは忘れてしまったけれど気づけばドリームジャーニーはシルバープレアーの親友というポジションに収まっていた。
やり遂げたぞ……という感慨を覚えながらドリームジャーニーはこっそり心の中で喜ぶ。
(連絡先の交換があんなに大変だったのは初めてだったよ)
彼女は思った以上に人気で、関わるべきではなかった───そうも思ったこともあったがもうそんなもの何でもよかった。
興味を引くことが出来たのだからそれで万々歳だ。
彼女とほぼ同じの体格と自分の見た目に感謝しつつシルバープレアーを見ている内にドリームジャーニーは気が付いたのだ。
彼女も自分と
そしてそれはとても幸運なことだった、何故なら彼女から望まれることは───。
*
シルバープレアーの家は結構引越しが多い家庭だった。
その理由は親の仕事のため……というわけではなく、シルバープレアーの生まれながらの美貌に起因する。
父も母もどちらかと言えば美形ではあるがシルバープレアーはそれに輪をかけて。
ひとりで出歩けばすぐに不審者に声をかけられる程度には。
そんな自分の容姿がシルバープレアーは好きではなかった、だから ───この顔を上手く使ってやろう。
そう思ったのは必然だったのかもしれない。
幼いながらにそう決意した彼女はその日から徹底的に自分磨きを始めたのだ。
元々勉強や運動が得意だったのもあり、それは彼女の努力によって実を結ぶことになる。
そしてその結果としてシルバープレアーは誰もが認める才色兼備な優等生になったし……同時に彼女の望みの通り、その美貌と完璧さのあまり近寄りがたい存在として見られるようになったのだ。
(面倒なことは、初めに終わらせておいた方がいいからね)
蜘蛛の巣に、ね?