さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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やさしいあなたと。



俺の

【金色旅程】家にはたびたびやってくる家政夫さんがいる。

必要な分の家事はできるがそれ以降がからっきしな【金色旅程】が、どうにも珍しいことにずっと雇っていた。

とてもやさしい人で仕事中にも構ってと行く俺たちに嫌な顔せず相手をしてくれた。

その人は時おり自分の子どもを連れてきていて、その子ともよく一緒に遊んでいた。

 

「お兄ちゃん、遊ぼ!」

「ちょっと待っててね」

「おい、おめぇらコイツ今仕事中なんだから話しかけんな」

「ケチ〜!」

 

髪の長さとあり女性とも見紛う中性的な人で、小柄な背丈もあってか歳が分からなかった。

子どもさんの年齢から見ても結構年上だろうけど、年齢不詳だった。

それでいて柔らかな笑みをよくしていてとても幼く見える人だった。

その人のことが大好きだった俺たちは仕事中だろうと関係なく構いに行っては親父に邪険にされたけどそれでも声をかけていたら、ある日突然来なくなって驚いたんだ。

そしてそれからしばらくしてまた来たその人は父に出迎えられ、

 

「大変でした」

「そうだな」

 

聞くに"仕事"が大変だったらしく、「おみやげだよ」と渡されたお菓子には津々浦々の国の表記があった。

それを兄弟で取り合ったのはまた別の話。

おみやげを配り終えて出ていったその人はその後しばらく姿を見せなくなって、心配しながら三ヶ月ぐらい経った頃にまたふらっと戻ってきたんだ。

今まで何があったかとかは聞かないし何をしていたかなんて俺たちには関係ないから聞かないけど、誰もがおかえりの声をかけたらふにゃりと表情を崩したのを見たのにすぐ何故か控え目な表情に戻ってしまったことが酷く心に残った。

 

 

「相変わらず懐かれてんな」

「ありがたい限りです」

 

昔から子どもに懐かれる体質だったがその血の運命というやつか、俺のガキに異様に懐かれているコイツは俺の心配なんざ気づかず今日も今日とてガキどもと遊ぶ。

だがまぁ、俺の心配は杞憂だったようで、コイツは何も気づかない。

それはそうとガキ共との接し方を見ると俺よりよっぽどいい父親なんだろうなと思う。

構ってもらっているガキどもが羨ましいのか、それとも単に気に食わないだけか……いや両方だな。

またふらっと来たらしいソイツに寄って行くガキどもに先んじて声をかける。

 

「おい」

「あ、はい」

 

何も気づかないままいつものように俺に寄ってくる。

昔と変わらず純粋に俺を慕うソイツを撫でると向けられる視線に、

 

(───ハッ、)

 

勝ち誇るように笑えば。





あの子は何も知らない。
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