運命的なナニカ。
「えっ」
その時、オグリキャップがただすれ違っただけの生徒の手首を掴んだのは半ば無意識だった。
ぎし…と、きっと痣ができるだろう力で掴まれた小柄な彼女はひどく困惑した目をして。
「え、えと、あの…オグリキャップ、先輩?」
なぜ自分がオグリキャップに手首を掴まれているのかと───それも無言で。
何か癇に障ることをしただろうかと混乱していくのが何故だか目に見えた。
そのためオグリキャップは名残惜しげに力を緩めると、
「一緒に走ろう」
「えっ、嫌ですけど」
*
最近のステイゴールドは機嫌が悪かった。
何故なら可愛がる後輩-シルバーチャンプに…、
「チャンプ、チャンプ」
シルバーチャンプが嫌がったのならすぐに動けるのに。
どうしてかシルバーチャンプはオグリキャップを無下にできないらしく最終的には流されて……。
最初は仲が良いんだな、と微笑ましく見れたのに。
最近はそれが目につくようになってきて、苛立たしさを隠せない毎日だ。
(俺はこんなに我慢してんのに!)
シルバーチャンプは俺が見つけたんだ。
だから俺だけの
その苛立ちを走りに向けていたからだろう、今日は少し調子が良くて……でもそんな時に限って周りがうるさいし、オグリキャップが目に入るし……ああもう!と。
「……先輩?」
「おう」
不思議そうなシルバーチャンプにいつも通りに返す。
イラついていちゃ怯えられるから。
力いっぱい抑えて抑えて。
何をって、それは勿論苛つく自分の心を。
ああもう早く気を紛らわせねぇと!とその日は何とか頭の隅に追いやって一日をやり過ごしたのだが……その日を境にやたらとシルバーチャンプの周りには人が増えてきた。
当然近くに寄るのも阻まれてつい舌打ちしてしまいそうになって、はっとする。
「危ない危ない」
オグリキャップから始まる永世三強たちにオグリキャップの同期周辺ども。
そのすべてがシルバーチャンプを構い始めた。
シルバーチャンプもシルバーチャンプで可愛がられることを結局は受け入れるからどうしようもない。
(俺の、俺だけのお前なのに…!)
徐々に怯えが消えてきている。
俺にだけ信頼を向けていた目が、いろんなところに向くようになってきた。
嫌だ、と──そう思ってしまえば行動は早かった。
苛つくなら確かめればいいんだ。
シルバーチャンプが誰のモノなのかを!
「チャンプ」
「はい」
「お前は…俺のだよな?」
「はぁ…まぁ、先輩ぐらいしか俺のこと好きなんていう人いませんよ」
それはそうと独占欲出すステイゴールド先輩定期。