さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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…と思っている。
それはそうと今年もよろしくお願いしますm(_ _)m


ほんの親切心

海外遠征から帰ってきてからというもの友人たちから告白されるようになった。

はじめはからかいだと思っていたのだけど、こう何度も続いては流石の僕も…と。

けれど、

 

(みんなが見てるのは僕の速さだけなんじゃないか?)

 

それまで見向きもしなかったくせに。

凱旋門まで勝って帰ってきたものだから。

これを逃す手はないだろうと、猫も杓子も僕を手中に収めようとしてくる。

嬉しいとか嬉しくないとか考える間もないくらいに押し寄せる告白に嫌気が差したのは一度や二度じゃなかった。

そんな時だ。

 

「シルバー、こっちだ」

 

大捕物になっていたところ、不意に手を引かれて。

それに驚いて顔を見れば「しぃ」と口元に手をやるカツラギ-カツラギエースがいて。

「ここら辺は誰も来ないから」と物陰に身を潜める。

カツラギエースとは話しやすいのもあって元から仲が良かった。

その日を境にカツラギに助けられるのが増え。

助けられた延長線でご飯をご馳走したりしていたら。

気が付けばカツラギに好意を寄せるようになっていて……。

これには本当に自分でも驚いたものだった。

 

(僕って恋愛できたのか)

 

そんなのを友人たちに知られたら一体どんな顔をされるか……想像するだけで恐ろしいものの、この想いを反故にするつもりはない自分がいて変な気持ちになったけれど。

 

(にしても、これじゃあ……)

 

あの一件から僕の生活は目まぐるしいものになったと思う。

それはいい意味でもあり悪い意味でもあるけれど……でも僕はこの変化を好ましく思っている。

 

「あぁ…今日も早起きだなバレット」

「うん。朝ごはんできてるよエース」

 

 

あんなに迫ってもアイツは嫌がるだけなのに。

他の奴らに取られるのが嫌なのは分かるが当人に嫌われちゃ意味が無いだろうに。

 

「エース」

 

自分にだけ見せるようになった顔に心臓が高鳴る。

策を弄して慎重に手に入れた彼女は、自分が思っている以上に自分のことを好いていてくれて。

それは大変喜ばしいし、今も優越感に浸っているところなんだが……この幸せが長く続くのかというのはまた別の話だ。

なにせ相手はあのシルバーバレットなんだからな。

 

(…これじゃあこっちだけが浮ついてて馬鹿みたいだな)

 

そう考えても惚れた弱みか。

欠点なんて見えないぐらい(いや、他人に愛想を振りまくところは欠点か)には盲目だ。

彼女の全てが欲しいだなんて、我ながらどうしようもない。

 

 

僕は幸せだと思う。

エースに恋をしたあの日から毎日が楽しくなったし……なによりも救われているから。

だから、

 

(もう少し欲張りになってもいいよね)

 





そうなればいいながそうなっちゃった!(予定)という。
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