確定演出定期。
今生は珍しく女の子として生まれてきた。
とは言っても、母であるリリィ似の切れ長の目から「目つきが悪い」と避けられまくったため、友だちらしい友だちもいないわけだが。
「…久しぶり」
彼だけにしか聞こえない音量で告げる。
どうやら彼もちゃんと覚えていたらしく、嬉しそうな顔で差し出した僕の手を握ってきた。
…いやホントにグローリーってでっかいなあ。
いつもデカいけど、こう、女の子になったら身長下がるのもあって余計にそう感じる。
「ああ。元気そうで良かった」
「うん、おかげさまで。……それで?どうしたの?」
そう尋ねると、彼は少し言いづらそうに口籠る。
……ははあん、なるほど?
「もしかして、僕の家来たい?」
「なっ!ちがっ!」
慌てて否定する彼。
いやもうバレバレだっての。
「……まあ、そうだね。その、久しぶりだから」
はいはい、いつものねと僕は肩を竦める。
「良いよ、今日は予定ないし」
「……ありがとう」
彼はそう言って、僕の手を引きながら歩き出した。
……まったく、何回生まれ変わってもまだ甘え癖が抜けないんだからなあ。
「それで?今回は何日いるの?」
「とりあえず軽く一週間くらいかな」
「そう、じゃあ部屋好きにしていいよ」
そんな会話をしながら家路を急ぐ。
もうそろそろ日が暮れる頃だ。
早くしないと夕飯が遅くなる。
何となしに二人分の食料にしておいてよかった。
クセで買った時は「あちゃ〜っ」と自分の額を押さえたけれど。
「もう」
「いいでしょ。キミと僕の仲なんだから」
「でも今回は異性だよ?」
「どうせ一緒になるのに?」
「それは…」
なめらかに後ろから抱きついてくる彼に苦言を呈せば、シレッと反論してくる。
まったくもう、本当に困った人だ。
「……でも」
「でも?」
「今の僕はキミに相応しいか……」
珍しく弱気な発言に僕は笑う。
何を今更なことを言っているのだろう。
彼は最初から……いや、何度生まれ変わっても変わらないのに。
「バカだなあ」
僕はそっと彼を抱きしめる。
いつも変わらないたくましい体。
「僕、キミ以外見てないのに」
僕の目を奪ったのはキミで。
逆もまた然り。
だから、キミが不安になる必要なんてないのに。
「……うん」
彼は小さく頷いて、僕を強く抱きしめる。
……ああ、もう。
そんな所も好きだけど。
「さ、あっちに行った行った。キミがいると作れるもんも作れないんだよ!」
僕はそう言って彼をキッチンから追い出す。
だって彼がそのままいると「それちょうだい」「あれちょうだい」で味見させてが多いんだもの。
「そうだね。楽しみにしてる」
彼は笑ってそう答えた。
ああ、やっぱりキミは笑っている方が似合うよ。
……まあ、その笑顔は僕しか見られないんだけども。
ずっと一緒なせいで距離感バグしてるんだ。