さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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これで安泰ですね!



どうせそうなった後

今生は女の子になって幾星霜。

いつもとあんまし変わらないまま現役生活を終えて、それで…。

 

「ホントに、いいの?」

「うん。説得できたし」

 

結婚することになった。

いちおう戦績的には申し分ないとはいえ、血統が…と思っていたが未来を知るグローリーには関係なかったらしく、その優秀な頭脳と弁舌能力で反対してくることごとくを切っては投げ切っては投げしたらしい。

僕としても家族が許してくれるかしら…と不安になったが杞憂も杞憂で、「お前が選んだんなら」と軽く返ってきた(とはいえ血縁上の父は何とも言えない渋い顔をしていたが)。

 

「借りるやつでよかったのに…」

「せっかくの結婚式だよ?」

「あはは…」

 

やるだろうなとは思っていたが、思った以上にお金のかかってそうなオーダーメイドのウエディングドレスを贈られて。

それが何回生まれ変わっても変わらない意匠(黒に薔薇が散りばめられたもの)だったから、僕は感慨深く思いながらそれに袖を通していた。

 

「僕のも似たようなものだからね」

「そっかあ……」

 

これあれか?と思い出す。

いつぞやの勝負服みたいな。

お互いウマ娘だった際に二人で同じ意匠の勝負服だったもんだから結構騒がれたんだよな。

 

「大切にするから」

「んぇ!?」

 

…とか考えていると、その間にあれこれと聞き流していたらしい。

気づいたら目の前にあるのは真剣な彼の顔(何度生まれ変わっても自分にドンピシャストレートな顔)なものだから、不意をつかれて思わず変な声をあげてしまった。

 

「僕の一生をかけて大事にするよ」

「あはは……」

「幸せにするから」

「……もう十分幸せだよ?」

 

もうすでに幸せだけどね。

それに一生をかけてって言っても、次の世界でも僕を見つけて大事にしてくれるくせに。

 

 

それはそれとして。

生まれ変わる世界線によっては僕らの間に生まれてくる子どもはそれぞれになる。

いや、年子なのは変わらないのだけど。

んで今回は。

 

「お母さん」

「まぁま」

 

第一子は僕の娘であったベストサンデーズで、第二子は彼の息子であったミスタードリームヒーロー。

いずれはこの子二人とも三冠とるんだよな…と思うと感慨深いものがある。

……いや、でも、その。

 

(これからの子もたぶんそんな感じなんだよなあ)

 

僕たちの子はみんな大成するから。

レースでは結果が出せずとも、トレーナーとして大成する子もいるし…。

 

(贅沢な悩みだよね、こんなの…)

 

はふ、とため息をつくと「気分悪いの!?」とベストサンデーズが心配してくれる。

 

「ううん。幸せすぎて」

「ならよかった」

「まま、げんき!」

「うん、おかげさまで元気だよ」

 

そう言って頭をなでてあげると、ミスタードリームヒーローが自分も自分も!とばかりに頭を押し付けてくる。

 

「ふふ……」

 

ああ、本当に幸せだ。

 





なおこの世界の米国レース界は…かわいそ状態そう(無双に次ぐ無双なので)。
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