さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ずうっといっしょ!



見ないふりをしている

今世はいつも以上に会えなかった。

遅くとも成人前にはいつも出会うのに。

故に僕は彼の故郷に訪れることにした。

待てど暮らせど来ないので、こっちから乗り込んでやろうと。

 

「…ここが」

 

しかし、かつて何度も訪れたことのある彼の生家あたりはどう見ても鬱蒼とした山であって。

近くの集落なぞ随分と行かなければない立地に顔をしかめるも、何となく予感があって歩を進めた。

 

「……」

 

嫌に涼しい山を歩けど、木々のざわめきしか聞こえない。

もちろん人気もなく、何かいる気配もない。

 

「……ふぅ」

 

あてどもなく歩いた先に見つけたのは、見覚えのある山道の入り口だった。

まるで…「化かされた」というのだっけ、こういう時は。

たぶんこれは、何度やっても同じことだろうなと早々と泊まる用意をすることにした。

 

*

 

『……』

 

何がどうなってそうなったのか分からないが、何故か今世は神様になっていた。

とはいえ集落もなくなって久しい土地の神なので、やることは山の管理くらい。

 

「……」

 

いや、もう一つあった。

 

『また来たんだ』

「うん」

『今度は何をしに来たの?』

「キミに会いに来た」

 

この子を追い払うこと。

今世も変わらず僕のことを覚えているらしい彼は、変わらず僕を連れ帰ろうとして。

僕はここの神様だから帰れないよと言おうにも、彼は何度だって僕をさらおうとした。

 

『僕はもう1人でも生きていけてるよ』

「うん」

『キミと離れても寂しくないんだよ』

「うん」

 

何度言っても彼は諦めない。

近くの土地を守っている家族に相談しようかとも思ったけど、こんな些細なことで迷惑をかけるのは気が引けた。

 

『……もう来ないで』

「それはできない」

 

彼はいつも僕に会いに来て、そして僕は彼を追い払う。

その繰り返しが、もう何年と続いていた。

 

・

・

・

 

神様になったあの子はどうにも時間感覚が鈍くなっているようだ。

あの日を境に僕は山の近くにちょっとした小屋を建てて、そこに住まうようになった。

 

『もう来ないで』

 

そうは言うけど僕のことを待っているくせに。

少し遠出したところにある資料館の資料を見るにキミは古い古い神様であるようで。

寂しがり屋のキミがずっとずっと待っていてくれたのだから、今度は僕が迎えにいかないと。

 

「やぁ」

『……ほんとにさ、いい加減にして』

「今日はお土産があるんだ」

『……』

 

そうやって何度も誤魔化して誤魔化されてを繰り替えして。

もう何年経ったかな。

あの子は全く姿を変えてないのに、僕は随分と歳を重ねた。

今回はキミと同じ時の流れを歩めないだろうことを察したのはいつだっただろう。

けれど、

 

「おはよう、スー」





それでも相思相愛なのは変わらないんだよねぇ。
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