さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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またの名をいっぱい食べるキミが好き!



それだけでおなかいっぱい!

自身の元トレーナーであった先生と暮らし始めて随分経ったと思う。

とはいえ、トレーナーと担当バの時代から先生の家に入り浸っていたと考えると今の現状もその延長線と呼べるのではなかろうか。

 

「透、ご飯できたよ」

 

トレーナーと担当バという関係ではなくなったから、名前呼びになって。

そりゃあ初めは中年男性である先生とまだうら若きウマである僕が共に暮らすのは、いくら過去にトレーナーと担当バという関係性があったとしても世間体的にどうなのかと言われたけれど。

だが、先生はその懸念を軽々と爆散させてしまうほどに…人間としての生活能力が皆無だ。

トレーナーにならなかったら一体何になっていたんだろうこの人は、と思わず考えてしまうくらいにやれ洗濯しようとしては床を泡まみれにするわ、電子レンジしようとしては食材をチンじゃなくて電子レンジそのものをチン(破壊)するわで、もう家事は僕の仕事。

その甲斐あってか今ではすっかり元よりあった料理スキルももっと向上し、先生に栄養のあるものを前よりも食べさせてあげられるくらいには成長した僕である。

 

「おおー!今日も美味しそうだ…」

 

先生はいつもこうやって褒めてくれるけど、それは本心から言っているようで。

でも僕は知っているのだ。

先生が夜食でカップラーメンを啜っていることを!

もう!先生の健啖家ぶりは僕も知るところなのだから言ってくれれば用意するものを!

先生のことだから眠っている僕を起こすのは忍びない…とでも思っていやがるのでしょうが、どうせ一緒の布団で眠ってるんだから先生が布団から出たらこっちも分かるんですよ!!!!

 

「はい、召し上がれ」

「うん!いただきます!」

 

それはそれとして。

先生は手を合わせながら元気よくそう言ってから箸を取り、僕の作った料理を美味しそうに食べ始めた。

……ああ、幸せだな。

好きな人と一緒にご飯を食べるのってこんなに幸せなことだったんだ。

この日常は、僕がずっと夢見ていたもの。

だから僕は今とても幸せだ。

「もごもごもごご」

「ちゃんと飲み込んでから喋ってくださいな」

「…ごくん。今日も美味しいよ!」

「ありがとうございます」

 

あれだけ作っていた料理がこうもスルスル消えていくのは圧巻だ。

しかし、この量を食べても体重にならない先生の体は摩訶不思議である。

 

「もそもそもそ!」

「はいはい、おかわりですね」

 

まるで子どもみたいである。

所作こそ綺麗だが食べっぷりがね。

 

(けど、ホント幸せそうに食べる人だなぁ…)





僕:
シルバーバレット。
自身の元トレーナーと同居している。
でも付き合ってるとかじゃない。
というかそもそもこのコンビにそういう感情はよっぽどのことじゃないと成立しなさそう。
なので先生と同居していても激重勢からのアプローチはあるままなんですね!
…まぁ、「先生を一人にしたら心配だから」ってあしらわれるんですが。
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