さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ただの学生軸です。



きみはかわいい

銀色の一族は基本的に小柄だ。

女性陣は何故だか色々と大きいが、基本的には小柄だ。

大きくても160台後半あるかどうか。

 

「ンなガキ扱いすんなって!!」

 

故に。

ウマというのは『本格化』もあって体格の良いものが多く。

小柄なものは必然的に…。

 

「可愛がるなテメェら!!」

 

上から伸びてきた手がワシワシと憤慨するそのウマの頭を撫でる。

多少気性が荒くともなんのその。

ちょっとワガママなぐらいが可愛いと言わんばかりに。

 

「ああもう! だから撫でるな!!」

 

撫でられるウマは、しかし強く拒絶はしない。

それは多分、その相手を好ましく思っているから。

 

「ったく……ンだよ」

 

そうぼやきながらも、その目は笑っている。

ああ、良かったと僕は思う。

 

(先輩に嫌われたら、僕は生きていけないもの)

「…おい?」

(……良かった)

 

僕は胸を撫で下ろす。

 

「ンだよ」

 

そんな僕を見て、先輩が口を尖らせる。

 

「……別になんでもありませんよ」

 

そう、なんでもないのだ。

僕の世界には先輩がいればそれでいいのだから。

 

 

「案外、上手くいくもんだな…」

 

家から出ての寮生活とあって。

喧嘩とかして親が呼び出されたら…と戦々恐々していた身となっては、現状の生活の穏やかさが信じられないような、むず痒いような。

それはひとえに、同室である後輩が良い奴であるからなのだろうけれど。

 

「…はは、」

 

シルバアウトレイジには、自分が面倒なウマだという自覚がある。

頑固だし喧嘩っぱやいし…何より、気性が荒い。

だから他のウマと上手くやれるか不安だったけれど。

 

(杞憂だったな)

 

件の後輩は、そんなアウトレイジを上手く転がしてくれる。

……いや、別に『転がされる』のが好きなわけじゃないぞ?

ただほら、アイツって可愛いから。

自然とそうなるというか。

 

「……」

 

……うん。

現状に悪い気はしないのだけれども。

 

「……ん?」

 

そんな折にふと気づく違和感。

 

(なんか……視線を感じるような?)

 

はて?と首を傾げるものの、昔から喧嘩を売られるのにはなれているのだ。

かかってくるならかかってこいや!と、いつでも臨戦態勢が取れるように意識する。

……が、そんな気配は一向になく。

 

(気のせいか?)

 

そう結論付けようとした矢先。

 

「っ!?」

 

ゾワっと背筋に走る悪寒。

反射的にその場から飛び退いて、振り向きざまに。

 

「わあっ!?危ないっ!!?」

「は、」

 

ぶん殴ろうと、して。

目の前で尻もちをつく、後輩に思わずポカンと口を開けた。

 

「……何してんだ、お前」

「え、いや……先輩が殴りかかってきたから……」

「は?」

「え?」

 

お互いに首を傾げる。

という折に後輩がこちらを見上げてくるものだから、自然と目が合って。

 

(あ)

 

ドクン、と心臓が跳ねた。

いやまぁ、だって……ネ?

 

「……お前って、可愛いよな」

 

思わずそう呟くぐらいにはその顔が可愛かったのだ。

だから仕方ないと…。

 





【銀色の激情】:
シルバアウトレイジ。
可愛いのが好き。
最近は同室の後輩【飛行機雲】を可愛く思っている。
元が長男なので年下相手を無条件に可愛がってしまうようだ。

【飛行機雲】:
後輩兼同室。
先輩である【銀色の激情】に懐いている。
懐いていると言ったら、懐いている。
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