さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ただの学生軸です。



きみはかわいい

銀色の一族は基本的に小柄だ。

女性陣は何故だか色々と大きいが、基本的には小柄だ。

大きくても160台後半あるかどうか。

 

「ンなガキ扱いすんなって!!」

 

故に。

ウマというのは『本格化』もあって体格の良いものが多く。

小柄なものは必然的に…。

 

「可愛がるなテメェら!!」

 

上から伸びてきた手がワシワシと憤慨するそのウマの頭を撫でる。

多少気性が荒くともなんのその。

ちょっとワガママなぐらいが可愛いと言わんばかりに。

 

「ああもう! だから撫でるな!!」

 

撫でられるウマは、しかし強く拒絶はしない。

それは多分、その相手を好ましく思っているから。

 

「ったく……ンだよ」

 

そうぼやきながらも、その目は笑っている。

ああ、良かったと僕は思う。

 

(先輩に嫌われたら、僕は生きていけないもの)

「…おい?」

(……良かった)

 

僕は胸を撫で下ろす。

 

「ンだよ」

 

そんな僕を見て、先輩が口を尖らせる。

 

「……別になんでもありませんよ」

 

そう、なんでもないのだ。

僕の世界には先輩がいればそれでいいのだから。

 

*

 

「案外、上手くいくもんだな…」

 

家から出ての寮生活とあって。

喧嘩とかして親が呼び出されたら…と戦々恐々していた身となっては、現状の生活の穏やかさが信じられないような、むず痒いような。

それはひとえに、同室である後輩が良い奴であるからなのだろうけれど。

 

「…はは、」

 

シルバアウトレイジには、自分が面倒なウマだという自覚がある。

頑固だし喧嘩っぱやいし…何より、気性が荒い。

だから他のウマと上手くやれるか不安だったけれど。

 

(杞憂だったな)

 

件の後輩は、そんなアウトレイジを上手く転がしてくれる。

……いや、別に『転がされる』のが好きなわけじゃないぞ?

ただほら、アイツって可愛いから。

自然とそうなるというか。

 

「……」

 

……うん。

現状に悪い気はしないのだけれども。

 

「……ん?」

 

そんな折にふと気づく違和感。

 

(なんか……視線を感じるような?)

 

はて?と首を傾げるものの、昔から喧嘩を売られるのにはなれているのだ。

かかってくるならかかってこいや!と、いつでも臨戦態勢が取れるように意識する。

……が、そんな気配は一向になく。

 

(気のせいか?)

 

そう結論付けようとした矢先。

 

「っ!?」

 

ゾワっと背筋に走る悪寒。

反射的にその場から飛び退いて、振り向きざまに。

 

「わあっ!?危ないっ!!?」

「は、」

 

ぶん殴ろうと、して。

目の前で尻もちをつく、後輩に思わずポカンと口を開けた。

 

「……何してんだ、お前」

「え、いや……先輩が殴りかかってきたから……」

「は?」

「え?」

 

お互いに首を傾げる。

という折に後輩がこちらを見上げてくるものだから、自然と目が合って。

 

(あ)

 

ドクン、と心臓が跳ねた。

いやまぁ、だって……ネ?

 

「……お前って、可愛いよな」

 

思わずそう呟くぐらいにはその顔が可愛かったのだ。

だから仕方ないと…。

 





【銀色の激情】:
シルバアウトレイジ。
可愛いのが好き。
最近は同室の後輩【飛行機雲】を可愛く思っている。
元が長男なので年下相手を無条件に可愛がってしまうようだ。

【飛行機雲】:
後輩兼同室。
先輩である【銀色の激情】に懐いている。
懐いていると言ったら、懐いている。
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